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遠くへ

人はいつか死ぬ。

そんなの誰が決めたんだ。

 朝、目が覚めて、あいつが居ない事に気付く。いつもなら、起きたらすぐに抱きついてきて、

そして、自分の腕の中で嬉しそうに笑う。

 そして、まだ覚醒しきっていない頭を抱えて、考える。

 ・・・ああ、そう言えば友達ンとこに泊まるつってたな・・・

 そんなことをぼーっと考えて、安心する。

「ったく・・・情けねぇ・・・」

 人一人いないと言うだけで、ここまで不安になるものだろうか。なんだかだんだん気恥ずか

しくなってきた。

 あいつと逢ってから俺は振り回されっぱなしだ。

 我侭で、強情で、意地っ張りで、でも時々寂しそうな顔をして。そして自分の事を優しく包み

こんでくれる。

 そんなのは嫌じゃなかった。

―――――もし、あいつが死んだら?

 頭の中で誰かが囁く。

「んなのわかんねぇよ・・・」

 そうなったら、自分は泣くだろうか。

 なんでだよと言って泣き叫ぶのだろうか。

 否、そんな事あいつは望まないだろう。

 最後まで笑っていて欲しいと言うだろう。

 最後の最後が、泣き顔だなんて恥ずかしすぎる。あいつとは、笑って別れたい。

「くっくっ・・・」

 急に、おかしくなってきた。

 ありもしない空想に踊らされるのは好きじゃない。

 死ぬのなら、守ってやればいい。

 いなくなってしまうのなら、捕まえておけばいい。

「      」

 そうこうしているうちに、あいつが帰ってきた。後ろから名前を呼ばれ、やはり、抱きつかれ

る。

 できるなら、まだ、しばらく、俺の腕の中で眠っていて欲しい。

 この、愛しい存在。

☆END☆

くくく・・・(怪)