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テーマ競作「宝石」

年齢制限=なし 本編=カイン・ワールド・ストーリーズ 読者制限=制限なし

青水晶 〜サファイア〜

南雲遊火


 ねぇ、お兄ちゃん。あのね、オレ、いつか精霊石を手に入れて、強ぉ〜い精霊を味方にするの。……あ、なんで笑うの?
 ねぇ、オレは本気なんだよ。
 ……むぅ。バカにして……。
 いいもん。お兄ちゃんなんか知らないんだからッ。オレは一人で、絶対に精霊石を手に入れてやる!


 「と、ゆーわけでコウガ。いい鉱石の採掘場所知らない?」
 なにが「と、ゆーわけ」なんだか……と、少年はキラキラと瞳を輝かせる目の前の幼い少女に言い返したかったのだが、いかんせん、自己陶酔モードで自分の世界にどっぷり浸ってるようなので、素直に聞いてもらえるかどうか定かでない。
 てゆーか、オレに聞いてる時点ですでに一人ではないような……と、義賊『ナイトメア』二代目……現頭領、コウガ少年は思ったが、思っただけにとどめといた。一言よけいな事を口に出すと、子供だと言う事もあり加減が解らないのか、とりあえず屁理屈が確実に三倍になって返ってくる。
「う〜ん、鉱石ねぇ。……この間、ジェリルが紅水晶の洞窟を見つけたと言ってたような……。」
 言いかけてコウガは少し後悔した。しかし時すでに遅く、少女……アテナは、ジェリルという人名に、ぴくりと過剰に反応する。
「だめー!お兄ちゃんの見つけた鉱石なんかじゃダメッ!もっと純粋で透明で、綺麗ででかいヤツじゃないとヤダー!」
 わがままだなぁと、コウガは少しため息を吐いた。
「それじゃぁ、ユイならどうだ?アイツなら、この間レイ・ソードのパーツに青水晶使うとかなんとか言ってたけど。」
「それだッ!」
 少女の顏が、ぱっと明るくなる。実際、彼女の行動はやたらと素早かった。あっという間に身支度を整え、手に持つは大きな袋。
「コウ、アリガトね〜。」
 バイバイと元気よく手をふるゲンキンなアテナに、コウガは頭を抱えた。


 「とりあえずオレはお前に一言言いたい。……バカじゃねーの。」
自分の背中に張り付く同い年の少年に、コウガはボソリと言った。彼はカチンときたが、いやはやまったくその通りなので、何も文句が言えなかった。
 すらりと高い身長。一房、両耳のところで束ねて長くたらし、残りの後ろをばっさり切った、ラディアータの商人風の特徴のある茶の髪に、一歩間違えれば悪人顔ともとれる彼の顔の、その原因の一つにあげられる鋭い切れ長の青の瞳。
 その容姿で瞳を涙で潤ませ、本人はいたって隠れているつもりなのか、小柄なコウガの背の後ろに張り付いてるその姿は、一種異様を通り越し、別の意味で怖かった。いや、あえてトドメをさすなら、むしろ気持ち悪い。
 「そんなに心配なら、ケンカなんかしなけりゃいいのに……。」
「まさか、あそこまで怒るとは思わなかったんだいっ!」
岩影に隠れる二人の視線の先には、アテナと一人の少年が立っていた。
少年は茶の髪を短く切り、コウガの後ろに立つ少年より、もっと深い青の瞳を持っている。
 ユーロイバースト。縮めてユイ。  戸籍上では人相の悪い彼、ジェリルの『妹』にあたり、アテナの『姉』でもある。
 実際は両性具有なんで、外見的に見ると『弟』兼『兄』でも間違い無いのだが、まぁ、関係ないので置いておく。
「あぁ、心配だ……あんなインドア引き蘢りユイに、アテナを守る事が出来るんだろうか……。」
「むしろアテナなら自分の身ぐらい自分で守りそうな気がするなぁ。」
ついでにユイを守ったり……。そう言ったコウガの後頭部を、ジェリルはドツいた。
「不意打ちは卑怯だぞ。」
「じゃかぁしいッ!おまえなぁ、いくらアイツが溢れんばかりの才能を持ち合わせた天才だと言っても、まだ十にも満たない子供ないんだぞ。」
なにげに妹にのろける愚兄を見、コウガはたじろく。……まぁ、いつもの事なのだが。
「あぁ……なんでオレに言ってくれなかったんだ……アテナぁ。」
「喧嘩してたからだろ。」
間髪突っ込むコウガを、再びジェリルはドツく。
「お兄ちゃんが悪かった……帰ってきてくれ……アテナぁ。」
 周りを完全無視した自己陶酔……間違いなくジェリルとアテナ、二人が似た者同士である事を示す、顕著な一例であると、コウガは思う。……個人的意見としてはその謝罪の言葉を本人の前でさっさと言い、ちゃっちゃと仲直りをしてくれればいいのに……。
 まぁ、双方共に意地っ張りだからしばらくは無理だろうなぁ……とも思うけど。


 「……なにやらコントを始めたが。」
 ユイは、義賊ナイトメアを背負って立つ二人の少年を遠目から眺めながら頭痛を感じていた。
 アレで隠れているつもりなのだろうか?……モロバレである。
「ほっとけば。それより、精霊石!」
元気な末妹の声に、ユイはアテナに向き直る。
 と、その前に……。
「アテナ……精霊石精霊石とさっきからそればかりだが、お前、精霊石がなんたるか、知っているのか?」
「もちろん。精霊を呼び出すための媒体でしょ?」
では……と、ユイは続ける。精霊石と普通の宝石との違いは?……と。
 アテナは黙る。
 精霊石と宝石との違い……。
 それはあきらかに、まったく違うものなのではないか?
 しかし、ユイが無意味にそのような事を聞くとは思えない。
 ユイは黙り込んだアテナの頭を、そっと撫でた。
「お前は利口な子だ。」
 ユイは地面に転がる小石を拾い上げた。どこにでもあるような、少し鈍く光る黒い石。
「アテナ……精霊は万物に宿るもの。……その気になれば、この石も精霊石となる。」
アテナは思わず、ぽかんと、口を開けた。拍子抜け……それが今の感情に一番近い。
「憶えておいで。アテナ……。召喚する精霊の強さは、自らの強さだ。強き者には、強き精霊が自然と集まる……そういう事だ。」
 約束通り、青水晶の窟には連れていってやる。でも、この事はちゃんと……ずっと憶えておくように。ユイはうっすらと、いつもの無表情な顔に笑みを浮かべた。


 一面びっしりと生えた青の水晶。コウガは刺さったら痛いだろうな〜と思いながら、ジェリルとともに、遥か前を歩くユイとアテナを追い、進む。
ふと、ジェリルの歩が止まる。
「どした?」
 コウガが振り返り……そしてぎょっと目を見開いた。
 ジェリルがいつも以上に怖い……もとい、険しい表情で前を見ていた。
「ど……どうした?まぢで。」
 コワイデスヨ……と言う言葉を飲み込み、コウガは引きつった笑みを浮かべる。
「妖魔の……妖魔の気配がする……。」
「ナンデストー!」
コウガの血の気が一気に下がる。
 妖魔と言えばアレデスヨ奥サンッ!たった二月で難攻不落のラディアータを陥落させたヤツラデスヨ!!!パニックを起こすコウガに、落着けとばかりにジェリルが鳩尾にチョップ。
「慌てるなッ!人間慌てた方が負けだッ!」
「………………。」
妙な理屈(意味不明)に諭された……と言うより、その前の鳩尾がかなり心身共にこたえたらしく、静かになったコウガに向かってビシっと、ジェリルは親指をたてる。
「ホラ……、わかったならおとなしく腹切って、アテナたちを助けに行くぞッ!」
 腹括ってだろうが……切腹してどうするんだと、コウガは引きずられながら内心ツッコミを入れた。


 二人が駆けつけた時、妖魔に囲まれたユイとアテナの隣に、見なれない一人の男の姿があった。しかし、彼が振り返ったとたん……。
「あー!」
「なんだ……知り合いか?」
三人の声がかぶった後、ユイがボソリ。嬉しそうなコウガに、対照的な表情のジェリル。そして、なんでだろ……とでも言いたげな複雑な表情の金髪の青年。
 短く刈り上げた金の髪に、猫のような緑の瞳。程よく引き締まった肉体に、握られているのは金属製の大太刀。格好からするに、典型的な戦士、傭兵の類いに見て取れる。
 結論から言うと、彼は名をバドラッド=カーンといい、現在ジェリル、コウガ両名より四歳年上の十八歳。ジェリルたち兄妹がナイトメアに入ったほぼ同時期(正確にはその少し前)に脱退した、先代のナイトメア頭領である。
 気ままに傭兵しながら旅をする……そうコウガは聞いていたのだが……。
「お帰りなさい先輩〜。戻ってきたんですねぇ〜!」
「……どうせまた迷子になっただけだろうが。」
「………………とりあえず残りは、こいつら何とかした後に聞いてやるッ!」
 感動の再会を喜ぶコウガと、図星突いてきたジェリルに、バドは引きつった笑みを浮かべた。そして、真面目な顔に戻ると、妖魔に向き直ると、太刀を構える。

……が。

 「いちいちまどろっこしい事やってんじゃねーよ。」
ずいッと、最前列のバドより前に躍り出たのは、ジェリルだった。あっけにとられるアテナとコウガを後目に、ジェリルはニタッと笑う。
「ひぃふぅみぃ……ざっと二ダース。加えて少しあちらさん側下に傾斜あり。……できない事はないな。あとは……。」
 近場に生えた青水晶を指ではじく。水晶はコーンと、静かに、大きく響く。
「お、上等。中々いい仕事してるねぇ。」
「ちょ……おまえ、何する気だ。」
 コウガが慌ててかけよろうとするが、思わず本能的に立ち止まる。
「怪我したくなかったら下がってな。できるだけ離れてね。」
 ジェリルは、大粒の金水晶(トパーズ)が中央についた首飾りを懐から取り出し、呪(シュ……いわゆる呪文)を唱える。パリッ……宝石からかすかに光が溢れだし、小さな火花が散った。
 呪は普段の何倍も長いもので、襲いかかる妖魔の攻撃を軽々とかわしながら、ジェリルはぶつぶつと詠唱を続ける。精霊語を理解しないコウガには何がなんだかさっぱりだったが、とりあえず、嫌〜な予感が頭によぎった。
「ふせろッ!ついでに金属モノは捨ててッ!」
 バドは握っていた大太刀の柄から手を放し、少し離れたところにあった小さな……大人3人がぎりぎり入るかな〜と思われるくらいの大きさの窪みに入り、屈みこむ。と、そこに……。
「なんでお前らまでッ!」
 どかどかとアテナ、ユイ、コウガまでもが窪みに降りてきた。子どもとはいえそんだけ入れば狭いという事は言わなくても解るだろうが、一番最初に入っていたバドは、本気で身動きがとれない。
「いや〜、お邪魔させてもらいます〜。」
にこやかに微笑むコウガに、バドはこの厄病神……と、いつものように呟く。
 と、周りの青水晶も、ジェリルの金水晶と同じように、淡く光り出した。ユイがチッ……と、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。となりでアテナは、何が起るのだろう……っと好奇心に溢れる視線で、兄を見上げた。
 と、その瞬間一気に、ジェリルを中心とした青水晶の結晶から、大量の水が溢れだした。水は濁流となって妖魔を飲み込み、ついでに金水晶がこれまで以上の閃光を放って、一気にスパーク。


 ……水が引いてあとに残るは、ぶすぶすと黒焦げになって動かなくなった妖魔と、電撃の衝撃で砕けた青水晶の破片。そしてその中央でふんぞり返る少年と、唖然呆然と立ち尽くす三人と、目をキラキラと輝かせる一人の少女……。
「お兄ちゃん、カッコイイッ!」
「がッはッはァ〜♪オレ様に不可能の文字はないッ!」
 お前ら喧嘩してたんじゃなかったのかよ……と、コウガは思わず突っ込んだが、どうやら二人は聞いてなかったらしく、反撃が来る事はなかった。
 しかし……。
「ンのアホ兄ッ!」
 ゴンッ……鈍い音があたりに響く。青水晶のかたまりが後頭部に直撃したジェリルはそのまま転倒。投げたユイの肩は、怒りで震えていた。
「なんてことしてくれたんだッ!勿体無いッ!」
 簡単に事情を説明するなら、こういう事になる。
 精霊石とは、精霊を呼び出すための媒体であり……水晶や玉を使用するのが一般的だが、実は普通のそこらへんに転がっている石でも、その気になれば可能であると言うのは、先にも述べた通り。
 だがしかし、普通のただの石からいきなり精霊を召喚する……というのも無理な話である。
 術者はまず、精霊と『契約』を交わす。そして、その時の情報を、石に書き込むのだ。
 書き込むといっても、ペンや筆記具で書いたりするワケではないのだが……詳しく書くと長くなるので省略する。
 ともかく、書き込まれた情報を元に精霊は召喚されるワケなのだが、一度書き込まれた情報は、二度と消す事はできないし、新たな術者の情報を、書き込む事もできない。
 したがって……。
「約半径10エクセナ(三メートル)!これだけの範囲内の水晶、貴様以外にはまったく価値の無いものにしやがってッ!」
 石一つに対して一術者一精霊が原則である精霊術の世界。精霊の属性は七つなので、基本的に多くても精霊石は七個所持で十分であるが、ジェリルの下に散らばる青水晶の結晶は大小様々、ざっと見五十を越えていた。
 新たな情報を書き込む事ができないので、装飾護符や、ユイが目的としていたレイ・ソードなどの機械部品の発動体としての価値も0となる。まぁ、ただの装飾宝石としての価値は十分あるが。
「……ってーな。まったく。まだ青水晶はいっぱい生えてるじゃねーか。細かい事ゴチャゴチャ言うなよ。」
 はたして、コレが細かい事なのか……どちらかといえば常識的な事なんじゃないかなぁとコウガは思ったが、ジェリルの見幕が怖いので黙っていた。
「わかったわかった……今度オレが見つけた紅水晶の洞窟、教えてやるから……コレならギブ&テイクだろ?」
「そういう問題じゃないッ!」
 ぎゃんぎゃんと、普段寡黙なユイが叫ぶ。ジェリルは耳を押さえ、明後日の方を向いて、このヒステリー、どうやってなだめようかと、考える。
 と、ジェリルは裾を引っ張られ、下を向いた。アテナがにっこりと笑いながら言った。
「オレ、腹割いて決めた!やっぱりお兄ちゃんみたいに、強い精霊使いになる!それで、お兄ちゃんの手伝いをするの!」
 痛い痛い痛い痛い……『腹を括る』とどうしても言えない……おまけに間違った使い方をする低ボキャブラリーな兄妹に、ジェリル以外思わずツッコミを入れた。
 残るジェリルは思わず感動して、目に涙をためる。
「そうか!そういう事なら、オレにまかせとけ!明日からみっちり鍛えてやる!」
「うん、がんばるー!」
 嬉しそうにジェリルに抱き着くアテナ。彼は、まるで無二の宝石を愛でるかのように、愛おしそうに彼女を受け止める。
「オレ、何のために出てきたんだ……?もしかして……エモノ壊されるためだけ???
電撃を浴び、コゲコゲで使い物にならなくなった大太刀を抱え、バドがぽつりと呟いた。
 彼の肩を、気の毒そうな視線を向けながら、コウガとユイがたたいたという事は、言うまでもない。


 かくしてアテナこと、後世に名高い歴代最強の精霊術士、『隻眼の女皇帝』、『血に濡れた白薔薇』等の名で知られるミラ=アテナ=アニムス=ラジスティアは、精霊術を学び、七大精霊王のうち、五人の精霊王の守護を受ける事となる。
 そして、兄であるセントジェリエル=セラフィム=コウキ=ラジスティアは、亡国ラディアータの地を妖魔から奪還し、初代武帝の地位についた。
 後世に残る彼の肖像画のほとんどが、青水晶で装飾された鎧を身に纏った姿で描かれていた事から『青の王』と呼ばれているが、彼が何故、帝位につく前の義賊時代から、高価な青水晶の鎧を愛用していたのか……という事については知られていない。
 ある者は義賊時代に名のある名家から盗んできた物だと言い、また、ある者はラディアータ皇家に代々伝わる宝物の一つだと言う。しかし……。

「まさかリサイクルだとは誰も思わねーよなぁ……。」
「なんか言ったか?コウガ。」

 ……真実は関係者の記憶の中のみに存在する。

FIN


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