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「天から不意に。」










強がるサンジは最低だ。


眠る背中をゾロは見る。
背中はすうすうと呼吸に波打つ。


眠りたがらないのを寝床に押さえつけるようにして留め、
布団と自分の体温で押し潰し、
もがく身体を手足を押さえ込んでその疲労した挙句のたわいない抵抗を封じ込んでしまい、
無言でぐいぐいと愛撫しまくって、震える肉の隅々までも撫で回して、
突き刺した肉塊で思考をぶっ潰してやり、
必死で夢中で快楽をひきずりだして神経をそれ一色に塗りたくってやった挙句、
それで、やっとのことで、
ごとん、
崩れおちるように眠ったサンジ。

崩れおちた後は、寝息すらもひそやかで、それにゾロは苛立つ。
毛穴ひとつ、もう揺るがしもしねえで、眠る男。

どれくらいの疲労がこの骨に沁みているのか。

思わず殴りつけたいほどの激しさで、ゾロは睨む、
その疲労を隠したがるサンジを。
情人の背中は、今も無言でゾロの視線を弾く。
臓腑を引っ掴んでやりたいくらいに、その身体を暴いてしまいたい。



強がるな。







オーナーシェフは孤独だ。

店はチームである。
キッチンという空間で共闘するチームだ、
サンジを含めてすげえいいチームができあがったからこそあの名店はある。
だがチームの中に居る、それだけにとどまることができないのがオーナーだ。
オーナーは指揮官だ。
厳然としたトップとボトムの関係は維持される、
いつでもオーナーはチーム全員からイエスを引き出す、引きずり出す、
どんな無理な状況でもイエスと言わせる、
イエス、オーナー、イエス、できますオーナー、やりますオーナー、
イエス、
イエスイエスイエスイエス。
ノーと言える奴は居ない。
できない、そうほざきやがった途端に悪鬼と化したオーナーサンジに虐殺されるからだ、
そんな阿呆はサンジの店に居ない。
そう、阿呆はあのチームに居ない、
だが、わざとじゃなくても失敗は起こる、生じる。
そこらでズボリと陥穽がぶち開く。

突然に高熱を発してうんうん唸るスーシェフ、
メールの行き違いで入荷の見通しが立たなくなった食材、
不渡りを出す問屋に冷徹で無愛想な銀行、
鳴り続ける市場からの電話、
会計係は2ヶ月前にクビにして以来ずっと不在、
不幸があって田舎にとんで帰らなきゃならねえパティシエ、
その隣の新入りは一瞬の油断で不様に火傷を負って鍋を引っ繰り返す、
3日がかりで仕込んだソースがオシャカだ、
その始末を怒号で命じておけば客席でソムリエに恥をかかされたと騒ぐ阿呆客、
くだらねえマスコミ取材を蹴ったらイヤミを言われ、そのムカつきを押し殺して客席に出て行けば、外は嵐。
停まった電車通勤のスタッフをクルマで送り届けてやらずにゃいられねえ性分のオーナー。
そのくせ、テメエ自身は実は風邪で微熱がひかないまんまの連続勤務だ。
一体何時間寝た?
一体何時間起きてる? 働いてる?

滝みてえに注ぎ込むコーヒーに鎮痛剤の山、
そしてチェーンスモーキングの煙草。

テメエの胃袋、ばっちん、と穴開かせてえのか?








強がるな。











だが、それは、言えもしねえセリフ。



テメエをどうにかしてやりてえ、まるごと抱えて布団の中におしこめて休ませてえ、
アタマの中でわんわん鳴り続けてるだろう心労のサイレン攻撃を、止めてえ。


しかし、それをサンジに言っても、蹴られるか笑われるか、あるいは、マジで気分を害されるかしかねえ。



男同士。



踏み込まれたくないギリギリのところがある、例え情人でも見せたくねえとこ、
縋りつくことを禁じて踏みとどまって歯を食い縛るしかねえ、ってとこがある、
それをゾロは知っている。

知っているから、言わない。

言わずに、ただ、服を毟りとって、抱いて、その身体に身体で伝えて、
ひたすらに眠らせるだけだ、ひとときを。

かりそめにしかならねえ、一睡を。









強がってるのは、俺も同じだ。



ゾロは苦く笑う。












いつか、天から不意に、


ゾロは思う、


天から不意に、ぐいぐいと大きな掌が伸びて、この町をぎゅうぎゅうと握り潰してくれればいい。


そんなとんでもねえ事態の中で、もう隠すもんも、隠せる余裕も、
そんなふざけた猶予なんざ無くなった時に、
ぎゅうぎゅうと握り潰してきやがる掌の中で、みっともなくあけすけに恥ずかしげもなく、
俺はテメエをひっつかんでやる。

強がる余裕も何もなくして、弱さも素地も何もかも露わにした存在で、
それでもテメエが要る、欲しい、とひっつかんで、ぐらぐら揺さぶってやる。

俺を欲しがれ、と情けなく喚いて突きつけてやる。







いつか突然、その日が来ても。





天から不意に。
天から不意に。
天から不意に。



何が降ってきやがっても。
















しんしんとした夜のなか、眠る街のなか、おおきなおそろしい掌が潜む夜空の下、
ゾロはサンジと添う。

眠れ、と自分に言い聞かせて瞼を閉じる。

情人の体温が毛布をつたわって、膚にゆるく滲む。

天の掌に、刃を鈍くひからすように意識を冴えさせながらも、ゾロはその温度を抱いて眠る。






しずかな夜の隙間に、じわりと強がりがほどけていく。
















(おわりるのん。)







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サイト閉鎖に伴い、お持ち帰り&転載許可を頂きましたので、烏賊海賊:kaminyoさまより頂いて参りました。


2005.07.10






                 

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