ギャルズタウンのお好きな街にあなたのサイトの看板を出せます。 ギャルズタウンをご利用いただいているレジデントの皆様に参加していただきたいです。 21000人以上の皆様にご利用していただいている無料サービスです。 ギャルズタウンのヘルプ委員、メイヤー、レジデントの皆さんが真心を込めて作ってくれたヘルプページです。 ギャルズタウンの案内ページです。 商用サイトを運営なさっている方のための相談・提案サービスです。
ギャルズタウンの総合トップページへ!
Click here to visit our sponsor



「俺だってテメエのケツくらい」








そりゃ、まあ、ナミには今回世話になったとは思ってる。

だからって、強制肩車なんかさせるかよ、普通?


ゾロはぶつぶつと呟く。
サンジはげらげらと笑っている。

ナミさん、やるぅ!
そうだよなー、テメエの有効活用ったらアレくらいしかねえしなー、
いよう、役に立ってよかったな、馬鹿力! 馬鹿サムライ!


・・・阿呆が阿呆なことを喚いて笑ってやがる。
誰がサムライだ。


憮然としたまま、ゾロは歪んでだれたネクタイを直す。
いや、直しかけて、気が変わって、毟る。
首にからみつく細い布切れは、どうにもぐんにゃりとだらしなく垂れているばかりで。
うぜえ、と眉をしかめて、ゾロはその布を丸めてポケットに突っこんだ。
その指先が、かさり、と軽い音をたてる。
何かと思えば、ナミが突っ込んでった飴だ、
ほらほらお馬さんには角砂糖、なんてふざけながら突っ込んでった飴を、指先でつまんでひっぱり出す。

のど飴。

そういや、渉外のアイツは声がイノチだろう、
ゾロはその小さなビニールにくるまれた膨らみを指先でぷらぷらさせながら思う。
そうそう、アレでいて、強気なあの女は咽喉が弱かった。
あの声、
サンジにワガママを言い、自分にイヤミを言い、げらげら無作法なまでに豪快に笑う、
あの生命力に満ちた女の声をゾロは思い出す。
アレが仕事ともなれば、怜悧に、聡明に、狡猾に貪婪に、クールに活用されまくることだろう。
あのパワフルな女は無敵だ。
ズルイまでに貪欲な表皮を一枚めくれば、ひどく優しい、そのくせ強靭な心根が見える、
見事な女。
そうだ、ありゃ本当に見事な女だ。
アイツだからこそ、なにかにつけて意地を張って無理をしたがるサンジをひきずり倒して、寝かしつけることができる。
今回みたいに。
まあそりゃ、感謝は、している。


だが、何も、肩車させることはねえだろうが、ボケ。


ゾロは苦笑する。

女ひとりの全体重がのしかかっていた肩は、痛みこそしないが、スーツの背中や肩は惨憺たる有様だろう。
しかも途中までナミは靴を履いたままでゾロの胸板を蹴っていた、
ふと見れば、胸元にはざらりと砂が筋を作っている。
ヒールの先で作られたとおぼしき、細い砂の筋。
クソ、あの女、今度会ったらやっぱ殺す、とゾロは決める。
憮然としたツラでぱんぱんと胸元を払うゾロを見たサンジが、横を歩きながらいっそう爆笑する、
なんだよ、名誉の砂じゃねえか、払うなよ、馬!
げらげら笑いまくりながら、ばんばんとゾロの肩を叩いてきやがる阿呆。

うっせえよ、このアホ。

その手をはたき落しながら、ふわふわと花が散る並木の下を、ゾロは歩いて行く。
坂の上までゆるりと続く、桜並木。
もわり、枝が花に覆いつくされてまるい影になっている。
ぼんやりと街頭の明かりが花弁に滲む。
アホの金髪に花が降りかかる。
ふらり、ふぅらり、歩みやがる阿呆。

夜桜の方が、桜の淡い香りは、濃い気がする。







絶対リベンジするからねー、夜桜、行くわようッ!

ナミの宣言は絶対だ。

特に、過日のように、有無を言わさずにぎゅうぎゅううと抱きしめてきやがる独特の兇暴なまでの優しさを発揮されちゃ、
男は弱い。
勝手に行けよ、といつもなら無愛想に返すゾロも、
今回ばかりはおとなしく従い、会議が終わるなり切り上げて退社。
サンジも、ようやく復帰した副料理長に背中を押されるように、数週間ぶりに夜の部の店を休んだ。

土気色の顔しやがってるオーナーにゃ、口やかましくソコら、うろついてほしくぁ無ェなあ、
帰れ帰れ、邪魔だよ、お頭。ぺッ。

だとか何とか、すんげえ嬉しそうに悪口雑言をついてきやがるクセだらけの偏屈コックを蹴ってきた、
と、久しぶりに肩の力が抜けた顔で笑うサンジ。
花見弁当なんか用意してきたら殺すわよ、と脅してたナミに連れられてデパ地下へ行って、
バゲットとチーズとワインとデリ数種を買い込めば、無礼講の準備万端だ。

海賊か山賊か盗賊みたいに花の下で野蛮に、無作法に、鯨飲馬食。
もりもり食って、がぱがぱ呑んで、げらげら笑って、寝っころがってふざけ合って。
オトナの礼儀も何もクソ喰らえ、とばかりに、夜闇と桜花の中で無頼な宴を大開催。

さんざんひっくり返って大笑い連続した挙句、
ア、しまった、明日は本社じゃなくて横浜支社に出勤だったわ、もう帰る、
ってな女王ナミの宣言で、野郎2匹を従えた馬鹿騒ぎは終了。
ゴミ出しにシート片付けに、と顎先でこき使われ、流石にムカついてきたところへ、きやがった、

ゾロ、おんぶ。

の一言。


ハア!?

と思わずシラフで切り返せば、上品なカッティングがオシャレな絹のシャツを着た女王様が傲然と言う、

脚疲れたから、おんぶ。


・・・冗談じゃねえぞボケッ!

と怒鳴りつければ、サンジも怒鳴る、

テメエッ、ナミさんに何て口ききやがる、
あああああごめんねナミさん、俺が後でコイツの腹かっさばいとくからさー、
おんぶね、ハイどうぞレディ、僕の背中にッ!


やーだ、とナミは悪戯っぽく笑った。

サンジ君ったらお尻撫でてきそうなんだもーん、
ゾロがいい。



・・・・俺だってテメエのケツくらい撫でるぞ。

低い声で脅してみても、ケラケラとお姫様は笑ってきかない、
ゾロがいい、ゾロ、おんぶしなさいよ。
じゃないと動かなーい。
この前の恩を、忘れた訳じゃないわよねーえ?

ぽん、ぽん、と、この前、男二匹を寝かしつけたリズムで、掌が動く。




畜生。
性悪なお姫様も居たもんだ。





極悪だぜテメエの根性、と罵りながらもゾロが背中を向ければ、
よっこらしょ、と太腿が肩を跨ぐ。
アア!? 
思わず声を荒げて、どういう変わったおんぶだよ! とツッコミを入れれば、
気が変わったわ、肩車!
と我儘お姫様が宣言する。


無敵な女王様なお姫様が宣言しだしちゃ、止められるもんじゃない。


仕方なく、唸りながらもゾロが立ち上がって、延々の肩車だ、駅まで。
駅まで、ずっとずっと続く、桜並木。

その中を、きゃっきゃとはしゃぎながら行くお姫様。
その横に、これまたげらげら笑いながら付き従う金髪下僕。
ナミの小さなハンドバックを捧げ持ち、
ゾロ! てめえええ羨ましい役をとりやがって! とか阿呆に歯を剥く。

クソ。

テメエら、俺がどれだけ恥ずかしいと思ってんだよ、
そう口の中で呻きながら、苦虫をざりざりと億万匹単位で噛み潰しながら歩けば、
お姫様が肩の上で身動きする。
桜の枝に、そっと手を伸ばしてるらしい腕が、視界の隅に見えた。

す、と伸ばされた女の腕。

桜、きれいかよ、
そう訊けば、
うん、すごくきれい、
と返された。

こんな間近で見れるなんて、すごい。
すごい、きれいよ、お馬さん。


そりゃ良かった。


そこで思わず笑って許しちまうんだから、本当に、ナミには甘い、
俺も、コイツも。










横で歩く金髪馬鹿は、まだしつこい。
なあなあ、ナミさんのお尻の感触、言語化しろよ、このスケベ!とか喚いてやがる。

誰がスケベだ。誰が。

結局、ナミの尻をひと撫でもしないままで無事に駅まで送り届けた馬は憮然とする。
女のケツだろうがムネだろうがおんなじじゃねえか、
肩に乗っちまえば重たいだけだ、アホが。
それにアイツ、公称よりも体重重いぞ、ありゃ3キロはサバ読んでる、
大体喰いすぎだ、スモークビーフなんかアイツひとりで喰ってたじゃねえか、クソ。
赤ワインはひとりでほぼ独り占めしてたことは棚上げしてブスくれてると、
ナミさん、かわいかったなあ、花の下だとますますキレイに見えたよなあ、
と、率直すぎる感想をアホが呟いている。
まあ、それに異存は無い。
男のサンジを抱いてるが、ゾロとて普通の男並みな審美眼は持ってる。
たしかに、ありゃぁ、極上の女だな、と思っている。
ただ、中身は魔女で女王様でワガママ姫だがな、と知ってるだけだ。
セックスの対象にすんのは勘弁してくれ、俺も命が惜しい、とか思ってるだけだ。

そのゾロの、セックスの対象、性欲の対象を一手に引き受けてる、
いや、独占している男が、ニヤリと笑う。
ニヤニヤ笑って言う、
ゾロ、テメエ、ナミさん乗っけてて、勃たなかったかよ?



アホが。



テメエ乗っけてりゃ勃つがな、とツッコミ甲斐も無い直球をゾロは返す。
ケツなんか触りまくりに決まってんじゃねえか、そしたらよ。
いくら俺だってテメエのケツくらい、肩に乗ってりゃ触りまくるぞ。

クソホモが、
サンジが傲然と笑って煙草をふかす。

そのクソホモとヤってんのは誰だよ、アホホモ。










S銀行にした、

不意にサンジは呟く。


そうか、とゾロは返す。


数ヶ月来、いや、半年以上、オーナーシェフを悩ませていた融資の問題だ。


店は順調だが、開店当初に借り入れた資金を全額返済できているほどじゃない。
ビル一階の一番いい場所を占める店舗の購入、厨房設備にカトラリー、家具、業者への支払い、保証金、
金は流動的だ、いつもいつも。
オーナーを唸らせる急な動きも多い。いや、そんなことばかりだ。
料理だけに専念できてりゃいい、ってもんじゃねえ店主の責任。
30代前に店を持った、若いオーナーの苦心が、資金繰りにも現われる。
開店当時に借り入れた信用金庫から都市銀への借り換え等、経営者として考えることも責任の内だ、
不人情だと無言で罵ってくる信金担当者の暗い表情を見ることも。
情に流されるなよ、と一回意見したのは自分だが、サンジには辛い選択だっただろう。
誰の目から見ても明らかに妥当な選択だとしても、
誰も相手にしなかった若僧相手に貸してくれた信金を捨てて、というのは気が重い、
当たり前だ。
だが、深刻な経営不振に陥っている信金と共倒れできる馬鹿は居ない。
店を守るのがオーナーだ。
店に勤めている者に給料を。
店に来る客にはメシを。
不人情でも何でも、鉄面皮になってでも守りきらなければならないものが、ある。
オーナー個人の内心なんざ、経理の数字に出ねえ。
クビにした経理係の補充も無く、欠員だらけの厨房で過労死寸前の連続勤務をこなしながら必死で考えぬいた挙句、
出さざるを得ない結論がそれ、というのは、サンジにとっても苦いだろうが。

仕方ねえよ、とゾロは口に出さずに、思う。

ここ数日の疲労しきった情人を悩ませていた問題が、とりあえず、そんな形で結論が出たなら、自分としては言うことは無い。
店の者でもない自分が、経営にどうこう口を挟むのはお門違いだ。
帰ったら、風呂のひとつでも洗ってやる、あったかい湯に沈めてやる、とたくらむことくらいしかできない。


なあ、と、その沈められ決定者が言う、
帰ったら、ヤらせろよ。


アア!?

思わずゾロは声を出す、
こんな声でわめき返してばかりだ、今日は。
ナミの唐突強制肩車といい、テメエといい、言う事がいちいち唐突すぎる、
テメエら、何か示し合わせでもしてやがるのか。

そりゃ男同士でセックスしてる訳だから、どっちがどっちに突っこむことも物理上可能だが。
ケツ掘られてばかりがイヤになった、ってことか。

つい、まじまじとサンジを見返したらしい、
視線の先で、サンジがニヤリと笑う、
何だァ、そのツラはよ、とニヤニヤ笑いだ。
エロいかたちに唇が曲がる。

バーカ、テメエの硬いケツなんざに勃つかよ、ボケ。
テメエはいつも通りに俺様のハダカにガチガチにちんこおっ勃ててりゃいいんだよ、
この前のリベンジだ、クソ、俺がヤんねえ、って言ってるのを押し倒してきやがって、
無理矢理寝かせたじゃねえか、テメエ。
アレの復讐だ、俺がテメエを好き放題してやる、
テメエがイきまくって勘弁してくれって泣いても止めてやんねえ、
汁が出なくなるまで俺のケツで搾りとってやるから覚悟しろ。
その後で、イイコいいこ、って寝かしつけてやんよ、阿呆。


げらげら、下品に爆笑してやがる金髪阿呆。
深夜といえど、桜並木には花見の人影が絶えないというのに、
恥も外聞もなく、テメエのチンコにオシオキくれてやる、とか喚いている。
アホめ。


いつのまにか、サンジの背中が伸びていることにゾロは気づく。


とはいえ猫背な背中だ、いつもひょこひょこと猫背に背筋を丸めて歩く癖のあるこの男はこれが常態だ、
だが、ここ数日の疲労に張りつめた背中ではなくなっている。

普段通りのカーブ、
普段通りの不遜なライン、
普段通りのムカつく乱暴なガサツな男の背中。


サンジが花の下で笑っている。
ふにゃりと丸めただらしない背筋、だが、なにかが凛と通った背中で、笑う。
ニヤリと、エロい、不屈な笑いで笑いやがっている、
テメエ、帰ってきたかよ、とゾロもニヤリと笑い返す。
帰ってきたかよ。



ヤってみろよ、ヤれるもんならよ、
ゾロもけしかける。煽る。
ソノ気になったサンジの淫蕩な腰の振り方はスゲエからだ、
堪能させろよ、アレをよ、と唆してやる。


ヤってやるよ、俺様のテクに腰ぬかしてヨがれよ、可愛がってやるぜーぇ?

下品にサンジが笑う。
笑って、つい、とゾロに手を伸ばす。
ぐ、と引き寄せられ、抱きとめられ、唇を奪われた。
奪う、と言うのがまさに正しい、強欲な獰猛なキス。
発情したサンジの舌が熱くゾロに絡む。
腰を抱き寄せて口づけを深くすれば、サンジが咽喉奥でひくく笑って、ゾロの頭を抱き寄せる、もっと口づけは深くなる。
淫蕩になる。
桜並木、夜桜の中、人目も気にせずにとんでもなく卑猥。


ヤってやるよ、とサンジが熱っぽく囁きながら、ゾロの股間に自分の股間を擦り付けた。

ヤってみやがれ、と囁き返す。抱きしめ返す。


男同士のふざけた愛撫。
やぁね、酔っ払い、とくすくす笑われるのも構やしねえ。
見たけりゃもっと見ろ、とゾロは情人の金髪に鼻先を埋めた。
傍若無人に髪の匂いを吸う。
髪の匂い、煙草の匂いにまぎれる、桜の匂い。

それに酔ったことにしておいて、不埒な情人達は抱き合う。



夜桜のあわいはぼんやりと街中に灯り続ける。
街灯の明かりを吸い込み、花自体がぼんやり、発光しているかのようなあわあわとした桜並木。
花に浮かれた顔が、うれしげに見上げては笑う。
やさしい匂い。
やさしいひかり。
やさしい街並。

その中で、やさしい心音を引き寄せて胸郭の中にぎゅうぎゅうと抱きしめる。



ヤろうぜ、と不穏に笑い合って、二匹の阿呆は歩いていく。
帰る、自分らの棲拠へと。

花だらけの街を、不遜にふしだらに、征服していく。






春の宵。








  



(おわるさ。)




----------------------------------------------------------------------------------

サイト閉鎖に伴い、お持ち帰り&転載許可を頂きましたので、烏賊海賊:kaminyoさまより頂いて参りました。
「天から不意に。」「あたしを戦車にする気かよ、この野郎」の続きです。


2005.07.10






                 

Treasure Top