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タイムリミット





−3−




「あづぃ〜・・・・」

森の中から無事に抜け出した二人が次に足を踏み入れた場所は
木がまばらにしか生えていない草原だった。
森の中の日が陰る場所とは違い、
木の少ない開けた場所だと直射日光がモロに当たる。
すでに午後3時を過ぎているというのに、太陽の日差しが衰える様子はなく。
額から流れ出る汗を拭いながらサンジは右手にはめたログポースを確認した。

「クソッ・・・また右へ行けって出てるぜ」
「あ・・・?さっきもそうだったんじゃねぇのか」
「しょうがねぇだろ・・・ログポースがそう指すんだから・・・行くしかねぇ・・・」

はぁ・・・とため息一つ吐いてサンジはログポースの示すまま足を運んだ。
続いてゾロもサンジの背中を追うように続いていく。

島の中でのログポースは必ずしも一直線とは限らないようだ。
そこに道があろうが、なかろうが。
障害が立ちふさがろうが、さっき通った場所のすぐそばだろうが。
ログポースは島にある特殊な磁力に左右されながら、指針をあちこちへと振り続ける。

「最初は直径50キロにも満たねぇ小さな島だから楽勝だと思っていたけどもよ・・・」

ヒー、ハーと吐く息を大きくしつつサンジが喋る。

「さすがに・・・1キロの場所をグルグルと歩き回されたんじゃ・・・
 50キロの距離を歩るくぐれぇじゃ済まねぇよな・・・」

乾いた喉を潤すようにゴクリと口の中にあるツバを飲み込み、
炎天下の空を見上げた。

「チクショウ・・・太陽が傾きゃ少しは涼しくなるかと思ったのによ。
 夕方近いってぇのになんでこんなに絶好のピクニック日和が続くんかなー・・・。
 ったく、おかしなもんだぜ・・・なぁ」

同意を求めようとするサンジにゾロが「何がだ?」と問いかけた。

「だってよ、ナミさんの話じゃ、ログポースを持つ者が島に入った途端
 この島の周囲は風が吹き荒れて、波も荒れに荒れるらしいじゃねぇか。
 確かに俺達が島の側まで来た時はそんな感じだっただろ。
 でも・・・今、島に居る限りじゃ・・・そんな風には見えねぇじゃねぇか・・・」

「な?」と空を指さすサンジ。
この天気の良さと気温の高さは、確かに外が天候不良だとは言い難い。
ましてや、土地が開けたこの場所では風の流れすら皆無に等しい状態だ。
この島の周囲だけが暴風域に入ったとでも言うのだろうか。

「まるで・・・」
「・・・・あ?」

聞き返すサンジにゾロはまた空を見上げた。

「まるで・・・俺達がくたばるのを待ってるみてぇだな・・・」

太陽に眩しさに目を細める。
空にはまた色鮮やかな二匹の鳥が飛び交っていた。








************************************






「はい、サンジ君。ログポース」

出発前にナミがサンジへと手渡した。
ナミさんの温もりがぁ〜とサンジは一心に頬ずりをしていたが
そんなサンジをナミは殴るまいかどうか悩みつつ、握り拳を作ってみる。

「とにかく、針の向くままに進めばいいんだな・・・」

何とか拳を納めたナミがゾロに向き直った。

「ええ・・・島の中では、その島の出口を示すようになっているらしいから」
「出口は反対側の海岸になるのか?」
「いや・・・それは決まってないみたい・・・」
「決まってない・・・?」
「ええ、反対側かも知れないし・・・もしかしたら同じ場所に戻ってくるかもしれないし・・・。
 ちょっと待って・・・・」

ナミが手に持っていた文献を再度開いて確認する。
数ページをめくってこれこれ・・・と、指さしたページには
ログポースの絵と小さな島の絵が書いてあった。
そしてもう一つ・・・奇妙な鳥の絵・・・と。

「これによるとね・・・。島でのログがマックスに近くなると、
 島から影響を受けていたログがGLへのログへと切り替わるのよ。
 切り替わる前にログポースの針は、グルグルと回り始めるみたい」
「へぇ・・・ログが溜まると針が回るんですか」

ナミから受け取ったログポースをはめたサンジが近づいてきた。
浮かれながらもナミの話はしっかりと聞いていたらしい。

「そうなの。だからきっと・・・24時間後。
 グルグルと針が回り始めたら出口が近いって事ね」
「ってぇ事は24時間針が示す通りに歩き回って
 5分間だけ開くっつー出口を見つければいいって事だな」
「そうね・・・。だけど・・・そう単純じゃないと・・・私は思うわ」

そう言って、ナミの表情が真剣な面もちへと変わった。

「だって、島の別名が”置いてけぼり”だなんて、そんな怖い名前が付く以上
 何かあると考えていた方がいいと思う。
 それに・・・24時間というのがこの島でログが溜まるのに
 一番時間が掛かる方法だと書いてあるし」
「そうなのか?」
「ええ、もっと手っ取り早く溜める方法もあるみたいよ」

意外だな・・・と、ゾロは思う。
ナミならばそのてっとり早い方法を優先的に考えそうなものだが・・・。

「でも・・・その方法については詳しく書かれていないわ。
 ただ・・・『短い滞在の影には長い滞在が余儀なくされる。』
 これがこの島に伝わる言葉。
 もしかしたら・・・この島に誰か人が残っているのかも知れないわね・・・。
 その人の滞在と引き替えに、安全にログを溜める方法を選んだ人達が・・・」

だけど・・・とナミは言葉を濁した。
その安全を選ぶと言うことは・・・誰かを犠牲にしなければならないという事でもある。
犠牲と危険。
どちらかと選べと言われたら・・・自ずと答えは出てくるだろう。
だが・・・それは自分もその危険に立ち向かうべき時の答えだ。
たった二人にこの危険の道を任すことは、
犠牲を選ぶのと何ら変わりはないのかも知れない。
自然と表情が暗くなるナミにサンジがにっこりと微笑んだ。

「それならば、ログを溜めて島から脱出すりゃーいいって事ですよね。ナミさんvv」

サンジの笑顔と強い言葉にナミの顔にも笑顔が戻る。

「そうね・・・ありがとう、サンジ君」
「ああ、僕はナミさんの為に愛のログポースをグルグルと回してくるよ!
 愛が溜まると僕たちの心も回るvv
 ああ、ナミさんの愛のログを僕も溜めてみたぁ〜い!!
 ねvvねvvこのサンジにガンバレのチューを一つ・・・」

ンチューと口を突きだしてくるサンジ。
ナミはさっき収めたはずの拳をまた握り始めた。

「・・・・・・・・ねぇ・・・やっぱり殴っていいかしら?・・・・ゾロ」
「・・・好きにしろ・・・・・」



************************************









「あ”ーーーーーーーっ!!
 あづぃーーーーーーっ!!
 やっぱ、あづぃーーーーーっ!!」

さすがのサンジも根を上げ始めた。
したたり落ちる汗と一緒に口に銜えていたタバコも項垂れる暑さだ。
午前6時にこの島に上陸してから早9時間。
時計の針は悠に午後3時を半ばほど回っていた。

「おい!クソ剣士!」
「あ?・・・・」
「こんなに暑くっちゃどうにもやってらんねぇ!
 休憩だ、休憩!さっき食いそびれた昼飯食うぞ」

同感だ・・・とゾロはサンジの申し出に同意した。
まだまだ先は長い。
ゆっくりと構えて体力を温存して置いた方が得策だ。
二人はグルリと周囲を伺う。
何処か涼しくて休めそうな場所は無いだろうか。
炎天下をどうにか凌げる絶好の場所が・・・・。

「おい・・・」
「なんだ・・・?」

ゾロが後ろで場所を探しているサンジの肩をチョイチョイと叩く。
振り向いたサンジに、あそこはどうだ?と指さした。

「おお・・・」

ゾロが指さした場所。
少しくぼんだ場所にある大きな岩が日陰を作り、
そのすぐ側には少し大きめの石が点在する。
ランチを取って足を休めるには絶好のポイントだ。

「クソ剣士のくせにいい場所見つけるじゃねぇか」
「・・・くせに・・・は余計だ」
「とりあえず行こうぜ、腹減った」

ヒャッホーとさっきまでの不機嫌が嘘のようにサンジの足取りは軽かった。
気分次第でコロコロと態度が変わりやがって・・・と思いながらも
ゾロも疲労が溜まっている体を休められると足も速くなる。
なんせ、一時間前にはトリップしたサンジをくいなと間違えて
一刀両断にする所だったのだから、体力的にも精神的にも疲れに疲れていたのだ。
ましてや、サンジには「魚だ!」と和道一文字で追いかけ回され、
一歩間違えればウソップボンバーで木っ端微塵になりかけた。
なんてハードな一時間前だったのだろうか・・・と、ゾロは考える。

「おい、何処か適当な場所に座れ!メシだ、メシ」

サンジはすでに休む場所を決めたようで、
岩から少し離れた石の上に背負っていたリュックを下ろし
中身をゴソゴソと探り始めていた。
それじゃ俺も・・・。
ゾロも岩場に一番近い、ちょっと丸まっている座りやすそうな岩を選んだ。

おらよ・・・とサンジがリュックから取り出した弁当をゾロへと差し出す。
すまねぇな・・・とゾロが弁当を受け取り、その岩へと腰を下ろした。
途端・・・・。

”カチッ”

「・・・・・・ん?」
「・・・・・・あ?」

その岩から奇妙な音が聞こえた。

「・・・なんか今、音しなかったか?」

と・・・首を傾げるサンジ。

「したような・・・しねぇような・・・気のせいだろ」

と・・・肩を竦めるゾロ。

だが・・・・ゴゴゴゴゴゴゴゴッと奇怪な音が背後から聞こえ始めれば
それはどう考えても気のせいではすまなくなってくる。

「・・・お・・・おい、てめぇ・・・妙なモン触ったんじゃねぇだろうな・・・」
「妙なモンって・・・何だ?俺は何にも触ってねぇぞ・・・」

ただこの岩に・・・・と言いかけて二人は目を見合わせた。
もしかして・・・・!
この岩が何かのスイッチになっていたのか?!

「・・・げっ?!」

ゾロの背後に目を向けていたサンジが驚愕する。
その顔に嫌な感じを受けて、何事かとゾロも背後を伺えば
目の前でそびえ立ち、涼しげな日陰を作っていた大岩が地響きを立て始めていた。
そして・・・見る見るうちにその大岩に亀裂が入り始め、岩が黒く湿り出して・・・

「み・・・み・・・水?!」
「ぐわーーーーーーーーーーーっ!に・・・逃げろ!クソ剣士!!」

亀裂を突き破って、大量の水が二人目掛けて流れ込んできた。

「ぐわっ!!走れ!走らねぇと・・・巻き込まれてオダブツだ!クソコック!!」
「うるせぇ!!てめぇに言われなくても走るっつーんだよ!!」

砕け散った大岩が、逃げる二人に注がれる。
同時に流れ込んできた水がすぐ背後でうねり、水しぶきを二人に投げかけた。
とりあえず、逃げろ!逃げろ!と、二人仲良く一心不乱に目の前の道を駆け下りていく。

「ど・・・何処まで走ればいいんだ!・・・クソッ!」
「し・・知るかっ!とりあえず走れ!死んでも走れ!くたばっても走れ!」
「やべっ!追いつかれるぞ!」
「ギャーーッ!幾ら暑いからって、これはねぇだろーーーっ!」

よくよく考えれば、この大岩の前には不自然なほどに大きな溝が出来上がっていた。
そこだけが草木がはげ落ちたように土が露出し、
何かが通った痕のように、木々が薙ぎ倒され、石がごろごろと点在する。
まるで、何度も大量に水が流れては、自然に川のような溝が出来上がっていくように・・・。

「いつまで逃げても埒があかねぇ!」
「おう、同感だ!」
「よっし!おめぇのその無駄に強ぇ脚力で何とかあの水、防いで来い!クソコック!」
「ば・・・バカか!てめぇこそ無駄に三本もぶら下げてる刀で何とかして来いってんだ!」

水はすぐ真後ろまで迫ってきていた。
うねり流れ込む水が足の裾を濡らしては、慌てて腿上げ90度で走り逃げ。
溝に叩き付けられた水がピシャリッと頭に被れば、
両腕45度の角度で大きく振り上げ、振り下ろし。
指はきっちり揃えて、上体はやや前倒しで走り抜けるのが基本中の基本だ。
だがそれは短距離走者の走り方。
この何処までも続く川の溝を走るには限界がある。
二人の額には今にも切れそうな血管が浮かび上がってきた。
息が・・・息が・・・もう保たない!

「も・・・もしかしてよ!」
「あ?!な・・・なんだこんな時に!」

すぐ真横を走るサンジがチラリとゾロに視線を送りながら、
目の前をクイクイッと顎で指した。
サンジが顎で示した先には、妙に見晴らしのいい景色が広がっている。

「もしかして・・・あの先・・・崖か何か・・・とか・・言うんじゃ・・・」
「ま・・・マジかよ?!」

目を見開くゾロ。
サンジの考えに間違いはなさそうだ。
だが、だからと言って、どうする術もない。
止まれば背後から迫ってくる濁流に呑み込まれ、崖下に流される。
かといってこのまま走り続けても崖下に一直線だ。

「どうする?!」
「どうするったって・・・どうしようもねぇだろうが!
 一か八かあの先に行ってみっか?」
「アホかっ!!自分から飛び込んでどうすんだ!!死ぬならてめぇ一人で行け!
 クソ・・・ッ!何かねぇか、何か!」

周囲を伺うサンジの目が崖のすぐ際にそびえ立つ大木を捉えた。
崖へ向かって枝を張る大木だが、その枝の一本が水が流れ込む溝へと張り出ている。
サンジの目がキラリと光った。

「クソ剣士!!」
「あ?!」
「俺の脚力が無駄かどうかその目で確かめやがれ!」

言うが早いか、サンジはゾロの走りより足を一歩踏み出して大木のやや近くにある
大きめの石へと飛び乗った。
膝のバネを使って、そのまま大木の幹へ移り、中断の枝へと一気に三段跳びをする。
溝に突きだしている枝へと腕を大きく伸ばして、走り込んでくるゾロの目の前へと
その長い足をぶらりと下げた。

「クソ剣士、さっさと俺の足へ掴まれ!」
「・・・コック・・・!」
「早くしろ!崖下まで落ちる気か!!」

サンジの怒鳴り声にゾロは右足に力を入れ、
頭上にぶら下がるサンジの足へと腕を伸ばした。
ゾロが飛び上がった途端、濁流が地面を隠し、枝が大きくしなる。
サンジの足首にゾロの手が掛かったようだ。
後一瞬遅かったら、ゾロの体は濁流に呑み込まれ
そのまま崖下へとまっさかさまに落ちていっただろう。

足の下をゴゴゴゴゴッと大きな音を響かせながら濁流は
崖から下を滝へと姿を変えて、下の池へと流れ落ちていっているようだった。
遠くで、ドドドッと水が叩き付けられる音が聞こえてくる。

「何とか・・・・助かったようだな・・・」
「ああ・・・おめぇの無駄な脚力のお陰で・・・な」
「てめぇ・・・この期に及んでまだ無駄って言うか?」
「ぬお?!」

サンジはギシギシッと枝を揺らした。
当然、サンジの下にいるゾロは、足下を流れる水にさらされる事になる。
貯水池か何かに貯まっていた水とは言え、まだまだ流れの早い濁流だ。
ゾロの足がその水に取られては、体が流されそうになる。

「クソコック!余計な事すんじゃねぇ!!」
「嫌なら無駄な脚力とか言うんじゃねぇ!訂正しろ!クソ剣士!」
「バカか!今はそんな事言ってる場合じゃねぇだろうが!
 こっからどうやって下に降りるか考えなきゃなんねぇんだよ!」
「っせぇ!てめぇが俺にぶら下がってなきゃ簡単に向こうの幹まで行けるだよ!
 俺のお陰で助かってるってぇのが判らねぇみてぇだな!え?クソ剣士!」
「誰も助けてくれなんて頼んでねぇ!」
「んだと?俺が居なかったら今頃オダブツだったのが判ら・・・・ん?」

サンジの文句が突然途切れた。
何事かとゾロは頭上に居るサンジを見上げる。
サンジが遠くの空を見つめていた。
視線の先には何やら空をクルクルと飛び回っている飛行物体。
その影を見つけてゾロはハッと思い出す。
この島に入ってからずっと自分たちを追うように飛び回っている鳥の姿。
色鮮やかなその姿に目を奪われがちだが、よくよく考えれば
この島に入ってから生き物らしい生き物はあの鳥しか出会っていない。
まさか・・・あの鳥・・・。
何かこの島に関係が・・・・?

「な・・・なんだ?なんかこっちに向かって飛んでくるぞ!?」
「なに?!」

鳥達は動けない二人に気づいたのか、
急に高度を落とし、木にぶらさがるサンジ目掛けてまっすぐに飛んできた。

「うわ・・・っ!やめ・・・やめろ!このクソ鳥!」
「コック!」

鳥はサンジの顔面へとくちばしを振り下ろし、
明らかにサンジの目を狙って攻撃をしてきた。
両手で枝に掴まっているサンジとしては、目を狙うその鳥を追い払う事も出来ない。
必死に頭を振って、その鳥からの攻撃をかわそうとするが
かろうじて急所を外れたくちばしが今度はサンジの頬や額を傷つける。
枝がギシギシと大きく揺れた。

「っ・・ちきしょう!・・・覚えてろよ!後でとっ捕まえて焼き鳥にして食ってやる!」
「油断すんな、コック!もう一匹居るはずだ!」
「油断も何も・・・コイツが・・・・ぐわっ!」
「・・・な?!」

ガクンとゾロの体が大きく濁流目掛けて下がった。
サンジの片手が枝から外れたのだ。
濁流の上すれすれに浮いていた足が、今度は足首まで水へと浸かる。
浸かった足が水の流れに引きずられ、木にぶら下がるサンジの体ごと
斜めに傾いていった。

「何やってんだ!クソコック!」
「・・・クッ・・・もう一匹が・・・強行手段にでやがった・・・」
「んだと?」
「クソ鳥の片割れが・・・手・・・狙ってきた・・・」

ゾロの頭上にぶらりと垂れ下がるサンジの左手。
その甲が血で真っ赤に染まっていた。
何か鋭いモノで開けられたかのように、甲のど真ん中に大きな傷が。

「・・・おめぇ・・!」
「・・・っ・・・心配すんな・・・。もう片方だけは・・・死んでも・・・離さねぇ・・・」

途切れ途切れのサンジの声。
枝に掴まる右手をもあの鳥達は狙っていたのだ。
痛みを堪えながら、サンジは枝を掴む右手に力を込めた。
グッと歯を食いしばり、外れたもう片方の手を枝へと近づける。
だが・・・今度は枝全体が小さな振動と共に揺れ始めた。

「な・・・なんだ?!・・・今度は!」
「あ”ーーーーーーーーっ!!あのバカ鳥!!今度は枝を狙ってきやがった!」
「何?!」

鳥は枝の根元を突っつき始める。
サンジの手に穴を空けるほどの強さを持つ鳥だ。
見る見るうちに枝がしなり始め、枝の根元からピキピキと嫌な音が立ちはじめる。

「ヤバイ!ヤバイ!!折れる!・・・折れちまう!」
「クソッ!何とかしろっ!このままじゃ二人して崖下に真っ逆さまだ!」
「んな事言ったって・・・俺にどうしろってんだ!?」
「どうもこうも何か考え・・・!」

ボキッ

「げっ?!」
「なっ?!」

不気味な音と共に枝が根元からポッキリと折れた。
二人の体が重力に準じて真下の濁流へと落ち、崖下へと流れていく。


ケーーッと鳥が一声鳴いた。








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