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タイムリミット





−4−




ドドドドドドッ・・・・。





崖下へと落ちる水の量が幾分減ってきたようだ。
貯水されていた水には限界がある。
一気に流れ、落ちていく時の水の力は計り知れないが
それが収まってしまえば、水はただの細い川となり
大きな滝も、一筋の流れへと変わる。

後少し。
後少しだったのだ。
彼らが後少し、あの枝で耐える事が出来たならば
・・・こんな事態にはならなかったのだろう。

水が溜まり即席の池へと早変わりしていた崖下は静まりかえっていた。
池から溢れた水は、緩やかな線を作りながら、繁る森へと流れ込んでいく。



二人の姿は・・・何処にも見えな・・・・。




「・・・・あのバカコックがっ!!!」

いや・・・唯一人。
ロロノア・ゾロだけは、崖中央にある小さな木の茂みの中から這い出してきた。
体に絡んだ枝や葉を何とか払い落とし、崖中央から崖下を覗き込む。
さっきの説明通り。
静まり返った崖下には何の影も姿も見えなかった。

「クソッ!・・・」

勝手な事しやがって・・・!
絶対に・・・見つけてブン殴ってやる!!








************************************




「うわっ・・・!」
「ぐっ・・・・!」

足下の濁流へと落とされた二人は勢いのある流れに逆らえず、
一気に崖側まで押し出された。
水の力は強い。
押し出された二人は崖から弾かれるように空中を舞った。

「クッ・・・・このままじゃ・・・」

このままじゃ、下の水ン中に落ちたとしても無事に済むかどうか・・・!
ゾロは咄嗟に体を丸め、受け身の体勢をとった。
何とか被害を最小限に済まさないと、自分たち所か、
船で待っている連中にまで被害が及ぶ。
無事ログを貯めて戻ると約束した。
約束は守らなきゃならねぇ。
仲間の為にも・・・自分の為にも。

「ゾロ!!」

落下中の風を斬る凄まじい音の中。
サンジの声が聞こえた。
自分目掛けて発せられる声が何処か力強く響く。

「・・・っ・・・」

風圧に逆らうように目を開ける。
間近にサンジの顔が見えた。

「・・・後・・・」
「・・・何だ?聞こえねぇぞ!クソコック!」
「後・・・頼んだぞ!ゾロ!!」
「ぐわっ?!」

急に強い衝撃が腹部を直撃したかと思うと、ゾロの体は真横へと飛びさっていった。
ガサガサッと草木が擦れ合う音が響き合う。
体が枝の繁る木の上に突び込み、背中に僅かな衝撃を感じた。
一瞬何が起こったかわからなかった。
自分の体は確かに・・・崖下へと落下していたはずなのに・・・。

だが、すぐに何かが水の中へと叩き付けられる音が聞こえてきた。
その音が一つだという事に気が付いて、
ゾロは慌てて、絡む木の枝から這い出し、崖下を覗く。
即席の池に大きな水の波紋が出来ていた。

「・・・・あのバカコックがっ!!!」

俺を蹴れば、その反動で下に落ちるダメージがデカクなるに決まってんだろうが!
それを判ってながら・・・・あの野郎!!

「クソッ!・・・」

勝手な事しやがって!

怒りが治まらなかった。
危険と引き替えに自分を安全な場所へと送り込んだサンジに。
為すがまま、サンジの蹴りを受けた不甲斐ない自分に。

絶対に許さねぇ!
見つけ出して・・・ブン殴ってやる!!






************************************






一気に木の枝から這い出たゾロはそのまま崖の岩肌を滑り降りた。
突き出た岩が露出するゾロの皮膚をすり減らすが
そんな事を気にしている余裕はない。

コックが水に落ちた音は半端じゃなかった。
ただでさえ高さのある崖から落下したんだ。
水面下はコンクリートに近い固さになる。
あわよくば・・・全身打撲・・・下手したら・・・そのままあの世行きだ!


サンジが落下してから数分後。
ゾロの体は崖にへばりつく石ころと砂利と共に小さな池を作る崖下へと降り立った。
水の勢いは更に衰え、僅かに流れ落ちるだけとなっていた。
その水が小さな池の中に何重にも輪を作る。
落ちてくる水以外、動くモノがないと言わんばかりに・・・・。

「コック!!」

ゾロは大声で叫んだ。
崖に反響して声が正面で繁る森の中へと吸い込まれていく。

「コック!!何処にいる!返事しろ!」

もう一度叫ぶ。
だが、その声に反応するものは何もなかった。
いつもの姿も・・・その声も。
ゾロの頭が最悪の状況を描き出す。

まさか・・・本当に・・・?!
死んじまった・・・とか言うんじゃ・・・・。

「・・・・・・いや・・・・」

その考えをうち消すようにゾロは大きく頭を振った。
アイツは俺がすぐに降りてくる事を知っていて・・・俺をあの場所へ蹴り上げたんだ。
二人同時に動けなくなるよりは、一人の方がマシだと判断して・・・。
アイツは”後を頼む”と言った。
野郎なんかに頼み事をして死ぬぐらいなら、
舌噛んで自分から死ぬようなヤツだからな。
そんなヤツが・・・簡単に死ぬ訳がねぇ。

「・・・・・・・・・・・」

水が落ち続ける池へと目を戻した。
普段は水がない、くぼみ同然の場所だ。
勢い良く注がれた水が乾いた土を掘り起こして、濁った水たまりのようになっている。
ソッと水の中に手を入れた。

「それほど・・・深くはねぇな」

もしこの中にコックが居るとすれば・・・見えない訳がねぇ。
するってぇと・・・・。

今度は崖の反対側で繁る森の中へと目を移した。
溢れた池の水が何本モノ筋を作り、大量に森へと流れ込んでいる。
そのうちの一本に・・・サンジは流されていった可能性がある。
しかし・・・・。

「・・・どれだ?何処に流されたんだ?」

森の奧は一見しただけでもその深さが伺える。
間違った筋を選んでその先に何も無かった場合・・・。
もう一度戻って他の筋を選ぶ余裕と時間があるだろうか?
ゾロの声に反応しない以上、サンジの状態は必ずしもいいとは言えない・・・。
だが、サンジが生きている可能性があるならば・・・一刻も早く辿り着く必要がある・・・。

「・・・クソッ!・・・どっちだ?何処行きゃいい?!」

気持ちが焦る。
早く!早くサンジを!


・・・・ケーッ・・・


「・・・あの鳥・・・」

聞き慣れた鳥の声にゾロはふと空を見上げた。
例の二匹の鳥が森の上でクルクルと円を描きながら、飛び回わっていた。
二匹はある一点を目指しては、森の中へと下降しそして、また舞い上がる。
まるでその場所に居る何かを見張っているかのように・・・。

「・・・あそこ・・・か・・」

考えるよりも先にゾロは森の中の一点へと向かって走り出した。
きっとあの鳥たちが見下ろす下にサンジは居る。
ゾロの直感はそう示した。
何故だか知らないが、あの鳥たちはずっと俺達の後を付けていた。
そして・・・俺達が危険な目に遭うようにと仕向けてきやがる。
あの鳥達がこの島のログと関係があり、
この島へと上陸した俺達を監視しているのならば・・・
あの鳥達がいる所にコックは居るはずだ。

時折空を見上げて、二匹の鳥が飛び回る位置を確認しながら
木々の合間を縫ってただひたすらに走る。

「・・・・・水がこんな所まで流れこんでやがる」

上空を飛び回る鳥たちと、一本の水の筋が一致した。
その筋の流れに、見慣れたタバコの残骸を見つける。
やはり、サンジはこの水に流されて・・・森の中に入り込んだんだ。
もうすぐ飛び回る鳥達の真下にくる。
無事でいろよ!コック!
無事で・・・!

「?!!」

流れ込んだ水の先に大きな石が置かれていた。
その大きな石からは長い足が見える。
足の向こうにはトレードマークの黒いスーツに黄色い頭。

「コック!!」

ゾロはサンジの元へと駆け寄った。
俯せに倒れていたサンジの体を起こす。
頭が泥水と血で汚れていた。
崖下に落ちたとき、頭を打ち付けたのかも知れない。

「コック!しっかりしろ!目ぇ覚ませ!!」

大きく揺さぶってみるがサンジは目を覚まさなかった。
逆にゾロの腕の中でその顔色を蒼白へと変え、更に土気色へと変貌させていく。

「コック!」

まさか息してねぇんじゃ・・・?
サンジの口元に手をあてた。
息が手のひらに感じてこない。
血の気が引くように指先が白くなっている。
体が・・・冷たくなり掛けている

「おい、コック!死ぬんじゃねぇ!んな所で死ぬんでどうする!!」

ゾロはサンジの頬を叩き、胸ぐらを掴んで必死にその体を揺さぶった。
だが、サンジはピクリとも反応しない。
焦るゾロを嘲笑うかのように鳥が大声で鳴き始めた。


・・・ケーッ・・・。
・・・・テケーッ・・・・。


「うるせぇ!バカ鳥!見せモンじゃねぇんだ!あっち行ってろ!!」

苛立ち紛れにゾロは近くにある石を鳥達へと投げつけた。
鳥達は飛んでくる石を軽々とかわし、バカにしたようにまた鳴き声をあげる。


・・・ケーッ・・・。
・・・オイテケーッ・・・。


「・・・・何・・・?!」


ソイツヲ・・・・。
・・・・オイテケーッ・・・。


「・・・置いてけ・・・・だと?!」


ログヲヤル・・・。
ソイツヲ・・・・オイテケーッ・・・!


「ログをやる?・・・どういう意味だ?!」

ゾロはサンジの右腕にあるログポースに目を移した。
ログポースがグルグルと回り始めている。
サンジの顔色が変わる度に、
その体が冷たくなる度に、グルグル・・グルグルと・・・。
ログポースが回り始めると言うことは、ログが溜まりかけていると言う証拠だ。

「何故だ?!
 まだログが溜まるまでには時間があるぞ!」

サンジの時計は午後4時を指したばかりだ。
この島に入ってからまだ10時間しか経っていない。
ログが溜まる訳がない!

何故だ?!
何故・・・・?!

「・・・・まさか?!」

ナミが言っていた、この島に伝わるという言葉。
”短い滞在の影には長い滞在が余儀なくされる”
まさか・・・・!
長い滞在ってぇのは・・・この島で誰かが死ぬと言うことなのか?
安全にログを溜める代わりに・・・・人一人の命を犠牲にしろと?!

信じられない・・・。
この世に人の命と引き替えに溜まるログがあるなんて・・・?!

だが・・・目の前の現実。
現にサンジが死にかけて・・・ログポースの針がグルグルと回り始めている。

「クソッ!・・・コックの命と引き替えにログなんか溜めれるか!」

ゾロはサンジの顔を両手で固定すると大きく息を吸い込んだ。
薄紫に変わり始めているサンジの口に自分の口を重ね、息を送り込む。

鼻を押さえて、顎を上に向けて。
何度も・・・何度も・・・、ゾロはサンジの口の中へと息を送り込んだ。

息をしろ!
息をしろってんだ!

肺が大きく膨らむ。
ゾロが送り込む息がサンジの肺に届いている。
だが・・・サンジの息が戻らない。

「クソッ!」

もう一度大きく息を吹き込んだ。
頬を叩いて、体を揺さぶって。
てめぇはんな所でくたばるようなタマじゃねぇだろ!
死ぬんじゃねぇ!

「死ぬな!サンジ!!」

叫んでゾロは再度サンジの口を塞ぐ。
大きく注がれた熱い息に膨らむ肺。
体中に充満したゾロの呼吸にサンジの体が反応した。
白くなりかけていた指がピクリと動く。
土気色の顔色に少しだけ赤味が増した。

「・・・ぅ・・・」
「・・・サンジ?」
「・・・ぅっ・・・ゲホッ・・・・ガ・・・ハッ・・・・」

肺の中にあった水が送り込まれた息に誘発されて吐き出された。
何度か呻いて、大量に水を吐き出した後、サンジは薄く目を開けた。

「・・・ゾ・・・ロ・・・・」
「・・・気が付いたか・・」
「・・・・遅ぇ・・・・よ・・・てめぇ・・・」
「・・・うっせぇ・・・おめぇが勝手に・・・っ・・・おい!」

怒りをぶつけようとサンジの胸ぐらを掴むゾロだったが
サンジはそのまま目を閉じて意識を手放した。
慌ててサンジの右腕にあるログポースへと目を向ける。
ログポースは回転を止めて、また島での出口を指し示す、ログポースへと戻っていた。

「・・・・驚かせやがって・・・」

余程、ダメージがでかかったのだろう。
頭の傷と体の状態を考えれば、息を吹き返したのが不思議なぐらいだ。

死ななかっただけマシか・・・と、
ゾロはガラにもなく安堵の息を吐いた。


そして・・・

・・・ケーッ・・・。
・・・オイテケーッ・・・。


鳥達は、諦めきれないとグルグルと二人の上を飛び回っていた。
鳴き続ける二匹の鳥をゾロはギロリと睨み付ける。

「てめぇらにくれてやるような命は持ち合わせてねぇんだ。
 残り14時間、しっかりと生き残ってログを溜めさせてもらうぜ」








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