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タイムリミット





−5−




頬に軽い振動を感じる。
微かに上下に揺れる動きに合わせて、頬に衣が擦れるような感触。

な・・・んだ?
ここ・・・何処だよ・・・。
・・・っ・・・頭・・・痛ぇ・・・。

規則的にズキズキと脈打つ頭痛に、サンジは顔を顰めながら目を開けた。

「・・・・・・・・・?」

遠くに見える薄暗い景色。
何処か、草木の湿ったような匂いが鼻をついた。
ここは・・・森の中・・・なのか?
数回瞬きをして再度確認してみる。
遠くには色濃い緑が立ち並び、目の端には・・・明るい緑・・・の毛・・・?

「・・・・あ・・・・ここ・・・何処だ?」
「やっと・・・目ぇ覚めたか・・・・」

サンジの独り言に返事が返ってきた。
それも・・・自分のすぐ側から聞こえる。
何で・・・そんな側から。
しかも・・・何故か景色が・・・移動してる・・・。

移動・・・って・・・?!

「あ”ぁ”っ・・・ククク・・クソ剣士!!
 ななな・・なんで俺がてめぇに背負われて・・・っ・・・!
 いでででっ・・・あ・・・頭が・・・・」
「・・・でっけぇ声出すからだ。バカコック・・・・」
「てめっ!誰がバカ・・・っ・・・いっでー・・・・たたた・・・」

自分の声の響きだけでも頭がガンガンする。
ギュッと目を閉じて、痛みをやり過ごすサンジに
ゾロは「ったりめぇだ」と冷めた口調で説明し始めた。

「崖から落ちて、しこたま頭打ち付たんだ。
 それだけで済んでありがてぇと思え」
「・・・・落ちた?・・・って・・・・」
「覚えてねぇのか?水の流れに押し出されて崖から落ちたんだよ」

ああ・・・とサンジはそんな場面を断片的に思い出す。
そう言えば・・・変な鳥に襲われて、水の中に落とされて・・・
それから・・・。
あーそれから・・・二人で落ちるよりはマシだとゾロを蹴ったまでは覚えている。
だけど・・・その後は・・・?
その後の事は・・・全く覚えて・・・

「・・・・ん?・・・」

ふとサンジの目がゾロの肩からぶらさがる自分の両手首へと移った。
何故だか両手首が黒いバンダナで縛られていて、
しかも自分の体までもがネクタイでゾロの体に括られていて・・・・。

「ぐわーーーっ!!」
「・・・なんだ!今度は!」
「な・・・なんで俺の手首がぎっちりと縛られてんだよ!!
 しかもてめぇの体に思いっきり密着してんじゃねぇか!!」
「暴れんな、クソコック!歩きづれぇだろうが!」
「歩きづれぇもクソもあるか!下ろせ!クソ剣士!
 俺は野郎に運ばれるような趣味は持ってねぇんだよ!」
「趣味もクソも関係ねぇ!俺だって好きでてめぇを運んでんじゃねぇんだよ!」

好きで運んでんじゃねぇ・・・。
好きで運んでんじゃねぇ・・・。
好きで運んでんじゃねぇ・・・。

「俺だって・・・好きで運ばれてんじゃねぇ!!」

ゾロの言葉が頭痛の激しい脳みそにプチーンとキたのか、
サンジがゾロの背中の上で更に暴れ出した。
さっきまでは意識朦朧で碌に動けなかったサンジだが、
意識が戻った途端、括られた腕をゾロの首に回し、ぎゅーぎゅーと絞めに掛かる。

「ぐお・・・クソコック・・・首絞めんじゃ・・・ねぇ」
「嫌ならとっとと下ろせ・・・・!!
 これ以上てめぇの温もり感じて移動なんか出来るかってんだ!」
「下ろしてぇ・・・のは・・・山々だけどな・・・ぐっ」
「山々なら・・・下ろせ!くらっ!」
「・・・さっきまで・・・死にかけてたヤツを・・・”はいそうですか”って・・・下ろせるか!」
「は・・・・?」

死にかけ・・・?
ゾロの首に掛かっていたサンジの手が思わず緩んだ。
これ以上絞められてはかなわん、と
すかさずゾロはサンジの手首を掴み、グイッと前へ引っ張った。

「おわっ・・・!」

必然的にサンジの体が前のめりになり、
ゾロの顔の脇にサンジの顔が近づいた。
至近距離でゾロがギロリとサンジを睨む。

「危うくおめぇの命と引き替えにログが溜まる所だったんだよ!
 こっから先も何が起こるかわかんねぇんだ! 
 これ以上、余計な手間掛けさせんじゃねぇ!」

ゾロの言葉にサンジは唖然とした。
何・・・言ってんだ?。
死にかけた・・・って?
命と引き替えにログって・・・?

「な・・・なんだよ・・・そりゃー・・・」

困惑するサンジに、ゾロは掴んでいたサンジの手首を離して、
大きくため息を吐いた。

「おめぇ・・・何にも覚えてねぇのか・・・?」
「・・・覚えてたら・・・てめぇに担がれるかよ・・・」

そりゃそうだ・・・。
意識があったら大人しく背負われるようなタマじゃねぇよな、このクソコックは。
少し考えて、ゾロはさっきまでのサンジの状況を説明した。
崖から落ちたサンジが、何処かに頭を打ち付けたらしい事。
そのショックのせいか、息が止まってしまった事。
心臓も止まりかけて、危うく命を落とし掛けた事。
それから・・・と、言いかけてゾロは口を噤む。
息を吹き返すまでの過程は・・・
あー・・・事細かに言うとうるさそうだから黙っておく事にしよう。

「『それから』なんだよ・・クソ剣士。急に黙りやがって・・・」
「いや・・・ナミの話を少し思い出していた。
 あの女が言っていたこの島の別名ってのを覚えてるか?」
「ナミさんの・・・・?
 ったりめぇだ!誰にモノ言ってやがる!
 この島の名前だってしっかり覚えてるぜ。
 ほら、この島の名前は”ショート・ロング島”、
 別名”置いてけぼりの島”って呼ばれてるんだろ。
 ナミさんが”サンジく〜ん、気を付けてぇ〜”と甘い言葉を掛けて下さったじゃねぇか」

一語一句しっかり覚えてるぜ!
と、サンジは括られた手をゾロの目の前に突きだして、
グーッと両手の親指を立ててみせた。
ゾロは呆れたようにまたため息を吐いて、
突き付けられた親指を邪魔だと言わんばかりに手で下げる。

「一々張り切んじゃねぇ」
「いいじゃねぇか!ナミさんのありがたい言葉はいつ何時でも
 想い出アルバムから出せるようにしとかねぇとな」

な?とゾロの顔を覗き込むサンジ。
んな事ぁ〜どうでもいいんだよ。
そう思いながらもこれ以上長びかせても面倒くさいとゾロは話を切り替える。

「・・・・ならよ、”短い滞在の影には・・・”って言葉覚えてるか?」
「俺をナメんじゃねぇ、クソ剣士。
 確か・・・あれは文献か何かに載ってたんだろ?
 えっと・・・”短い滞在の影には長い滞在が余儀なくされる”って・・・ヤツ。
 そうそう、ナミさんが『誰かがこの島に住んでるのかも知れない』って言ってたなー。
 そういや、そんなヤツは・・・一人も見かけなかったような・・・」

今までの道筋を思い出してサンジは首を捻った。
生き物らしい生き物と言えば、あの腹が立つクソ鳥二匹だけ。
植物やら、虫の類は居るみたいだが、目立つような生き物にはお目に掛かっていない。
ましてや・・・予想していた”長い滞在を余儀なくされた”人の影すら・・・。
考え込むサンジにゾロが言う。

「・・・居ねぇはずだ」
「・・・・・・?」
「この島のログは・・・人の命と引き替えで溜まるようになってんだからよ。
 長い滞在の連中は全員おっ死んでるぜ」
「・・・・はぁ?お前・・・何言って・・・・」

らしくねぇ冗談を・・・と笑い飛ばそうとしたサンジがゾロの横顔を伺い見た。
そこには、まっすぐに前を見つめるゾロの真剣な目。
嘘を微塵にも感じさせないような強い視線。
その視線をゾロは背中越しにサンジに合わせた。

「おめぇは信じられねぇだろうけどな。
 俺は実際に見たから信じられるぜ。
 崖から落ちたてめぇが死にかけた時、ログポースの針がグルグルと回る所を」
「な・・・?!」
「ナミが言ってただろ?島のログから、GLへのログへ切り替わるとき、
 ログポースの針がグルグルと回り出す・・・と。
 おめぇが死にかけて、時間に満たねぇのに、針が回り始めて、
 おめぇの息が吹き返したのと同時に・・・針がまた元に戻ったんだ。
 そこまで見せられちまったら・・・信じねぇ訳にはいかねぇだろうが」

ゾロの言葉にサンジは驚愕した。
その驚きは、サンジを背負っているゾロにしっかりと伝わっていた。
実際は背中に背負っているから顔の表情なんかは見えはしないが
ゾロの背中に伝わってくるサンジの怖れは相当のモノだ。

ゾロ自身もそれを目の当たりにしなかったら信じられない事だっただろう。
・・・サンジの息が止まり、心臓が止まり掛けたその時に、
ログポースの針が動かなければ・・・。

「でもよ・・・それじゃ・・・俺達が24時間ここで粘ってるのは無駄だってぇ事か?
 誰かが命を落とさなきゃ・・・ログが溜まらねぇって・・」

サンジが当然と言えば当然の疑問を出してきた。
命と引き替え・・・と言うのなら、ログを溜めるのに相応な命を差し出さねばならない。
それは・・・仲間の一人が欠けると言うこと。
GM号の中では・・・あり得ない選択肢だ。

「いや・・・んな事はねぇだろう」
「何でそう言い切れる?」
「・・・命と引き替えなら・・・わざわざ24時間なんて条件が
 文献に残る訳がねぇ。それに・・・あの鳥」
「鳥・・・?」

ゾロは、未だに自分たちの後を追いかけてくる二匹の鳥を指さした。
暗い空を色鮮やかな体でその存在を示しながら悠々と飛んでいる。
サンジはその鳥の姿を目に止め、更に驚愕した。

「おいおい、何で・・・鳥が夜飛ぶんだよ!
 鳥は夜目がきかねぇはずだろ?!こんな真っ暗な所、飛ぶ訳が・・・」
「アイツらは、特別だ。この島の番人みてぇなもんだろうな。
 ああやって、俺達がこの島の罠に引っかかってどちらかが死ぬのを待ってるんだよ」
「ああ?!」
「命を差し出すだけだったら番人なんか要らねぇはずだ。
 アイツらが俺達を見張ってるってぇ事は、アイツら自身は手出し出来ねぇって事だろう。
 誰かの第三者の手か、もしくは何かの不遇な事故でしか奴らは魂を吸い取れねぇ」
「・・・・・・・・・・」
「だからこそ、過酷な条件がこの島には揃ってるんだよ。
 いつでも何処でも・・・不慮の事故が起きるように・・・。
 そして・・・生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた時、
 アイツらが耳元で鳴くんだよ。『ソイツヲオイテケ、カワリニログヲヤル』ってな」

俺もアイツらにそう鳴かれたぜ。
おめぇを”オイテケ”・・・ってよ。
そう言って、ゾロは少し苦笑いを浮かべた。











この島の由来。
それは・・・ここに住む鳥の鳴き声から伝わっているモノだった。
死に逝く仲間を”オイテケ”と鳴く鳥。
一人の魂を選んで”置いてけぼり”にする仲間達。

この過酷な島の中では、24時間は短いようで長い。
ひたすら歩き続け、罠を避け、
一人、また一人と仲間が傷付き倒れていく極限の中、
死と背中合わせの旅人達に、島に住む鳥がある条件を出す。

『一番弱い魂を置いていけ。その代わりにこの島のログをやろう。
 この条件を飲めば・・・たった一人の犠牲で済む事になる』

人間の心は弱い。
ズタボロになった精神では、人としての倫理など吹き飛んでしまうだろう。
囁く鳥たちの声に導かれるまま、誰かの魂を犠牲にする。

短い滞在とは・・・魂と引き替えにこの島のログを手に入れた者の事。
長い滞在とは・・・ログの代わりにこの島に未来永劫取り残された魂の事。

だが・・・仲間を犠牲にする選択を選んだ人間は、
今度は後悔の念に晒される事となるだろう。

失った仲間の魂を補うものは存在しない。
仲間の魂は仲間の命でしか償えない。

重く閉ざされた口から・・・この島での出来事が語られる事は・・・皆無に等しいのである。










仲間の命と引き替えか・・・。
それはある意味・・・どんな大罪よりも重いのかも知れない・・・。

ゾロの話を聞きながらサンジはそう思った。

だが・・・海賊として明日の命さえも保証されない生き方であれば
それは必然的なルールなのだろう。
弱い者から死んでいく。
それが弱肉強食が当然の海賊の世界なのだ。

きっと・・・躊躇う事もなく、ログの代わりに命を投げ捨てられた者も居たはずだ。
弱い者を踏みつけ生きながらえる人間にとっては絶好の島だ。

そして・・・それはどんな時も前を進んでいく人間にとっても・・・迷わない選択。

「・・・なぁ・・・」

考え込み口を閉ざしていたサンジが問いかける。

「・・・お前は何で、ログを選ばなかった・・・?」
「・・・・・あん・・・?」

前を向いたままゾロが聞き返す。

「・・・俺が死にかけて・・・ログが溜まり掛けたんだろ?
 なら・・・ログを選ぶっつー選択肢が出来たんじゃねぇか。
 これ以上面倒くせぇ島巡りをしなくてもすんだのによ。
 なのに・・・何でログを選ばなかった・・・?」

まっすぐに目の前の道を進み続ける、この男なら・・・。
誰よりも、寄り道を嫌い、
ただひたすらに自分の前を阻むモノと闘い続けるこの男なら・・・。
自分の信念の前にその大罪を背負う道を選んでも・・・別段不思議じゃない。

「・・・別に大した意味はねぇ。
 目の前に居る人間が死んでるならあきらめもするが、
 死にかけの人間なら・・・救う道もあるだろう」
「・・・・・・」
「・・・おめぇはたまたま運が良かったんだ。
 息吹き込んでも・・・運の悪ぃヤツはそのまま死んじまう時もある。
 それに・・・・」

少しの間の後。
ゾロは自分たちの後を追い、飛び続ける鳥をチラリと見た。

「アイツらの言いなりになるには・・・ちょっと癪だったからな・・・」

自分たちの命を狙い続ける鳥達。
いや・・・命が止まる瞬間を見逃すまいと追い続けている。
あの鳥たちの囁きが・・・一つの命を消し去り、
あの鳥たちの存在が・・・恐怖へと陥れていく。

サンジはまだその鳥の奇妙な囁きを耳にはしていないが、
確かに、あの鳥達の言いなりになるのはちょっと気に入らねぇかも知れねぇと思う。

そう考えれば、クソ剣士がわざわざ俺に息を吹き込んで命を助けたとしても
それはそれで・・・・。

「・・・・・あ・・・・?」

息・・・吹き込んだ・・・・だと?!

息を吹き込んだって・・・今、言ったな。
俺の息が止まって・・・心臓が止まり掛けて・・・。
んな時にやる・・・事・・・つったら・・・・。

「・・・・ちょっと待て・・・・クソ剣士・・・」
「・・・・なんだ?」
「・・・てめぇ・・・もしかして・・・・俺に・・・・とんでもねぇ事しやがったんじゃねぇのか?」

とんでもねぇ事・・・?
ゾロがふと考える。

「何言ってやがんだ?
 てめぇ相手にとんでもねぇ事なんざある訳・・・・・・ぁ・・・・」

そういや・・・さっきうるせぇからつって・・・言いかけて止めたんだったっけ。
と、ゾロの頭がさっきの思案を思い出す。
だが、思い直しても後の祭りだ。

「てんめぇ・・・・なんだ!その『思い当たる事があります』っつーような顔はよ!!!」

ゾロの意味深な言葉に、またもやサンジが背中で暴れ出した。
ガーッ!と奇声を発してはゾロの首を大いに絞め始める。
さすがのゾロもサンジよりは多少長い堪忍袋の緒をプチンと切った。

「うっせぇな!!死にかけるてめぇが悪ぃんじゃねぇか!!
 助けてもらって何文句言ってやがる!!」
「誰も助けてくれなんて頼んでねぇ!!てめぇの分厚い口が
 俺様の桃色吐息な唇を塞いだのかと思うと反吐が出るぜ、反吐がよ!!」
「ああ、そうかよ!今度、てめぇの息が止まり掛けた時は、
 速攻であの世に送ってやるから安心しろ!!」
「上等だ!くらっ!俺の方こそ、てめぇが血反吐吐いて死にかけた時には
 その上等な首の骨、一気にへし折ってやるってんだ!!」
「てめぇのへなちょこキックにやられるような柔な首なんざもってねぇ!」
「アホか!俺様の殺人キックはその辺の刀よりも威力があるってんだ!
 おお!てめぇが切腹する時はよ、俺の足でてめぇの首の介錯してやろうじゃねぇかよ!」
「その前にてめぇの心臓に思いっきり刀ブッ刺して、あの世へ送ってやるってんだ!」
「ざけんじゃねぇぞ!このクソマゾ剣士!」
「うっせぇ!!このへなちょこコック!!」

ガーッ!
グオーッ!
まるで動物並の遠吠えだ。
しっかりとサンジを自分の背中におぶさりながらも続く呆れた喧嘩。
静けさが増す森の中で一際二人の声が響いていた。
上空を飛ぶ二匹の鳥達の声さえ掻き消されるほどに・・・。

それでもゾロの足取りはしっかりとログポースの針が示す道を歩いていく。
時折サンジに「バカ剣士!そっちは違うだろうが!この天然迷子野郎!」と
怒鳴り散らされてはいても、
「気に入らねぇなら、てめぇの足で歩け!この足手まとい野郎!」と
怒鳴り返すような事が繰り返されていても・・・だ。


夜もどっぷりと過ぎた午前0時。
サンジの時計の針と、ログポースの針がちょうど同じ方向を指した時。

「あ・・・?なんだ・・・あの洞窟・・・」

暗闇の中に更なる暗闇がぽっかりと口を開けていた。
それは・・・予期せぬ危険が待ち受けているであろう道しるべ。

「ログポースが・・・この穴を指している」
「・・・てぇ事は・・・この道を行くしかねぇって事だろうな」

下ろせ、と一言ゾロに発して、サンジはゆっくりと地面に足を付けた。
ギャーギャーと文句は言ってはいたが、ダメージを受けた体を
休めるには、ゾロの背中は都合が良かったのだ。
しっかりと休憩を取ったサンジの足は幾分軽やかになっていた。

トントンと靴先を地面に叩いて、サンジは懐からタバコを取りだして火を点ける。
ふーと煙を一吐きして、準備万端とばかりにサンジはポケットに手を突っ込んだ。

「ほんじゃ・・・行くか、クソ剣士殿」
「・・・てめぇ・・・散々俺の背中で楽しやがったクセに・・・」

洞窟へ向かうサンジの背中を追いながらそう悪態をつくゾロだったが、
その元気な姿を見て、少しだけ口端が上がっていたのを・・・サンジは知らない。




島の出口が開くまで、後6時間。
ログポースが示す先まで・・・後少しだ。








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