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タイムリミット





−6−



「・・・真っ暗で何にも見えねぇじゃねぇか・・・」

月明かりが入り込んできたのは、入り口からホンの数十センチの所だけだった。
その先は真の暗闇が続いていく。
足先所か、一センチ先まで見えない暗闇に、サンジは手探りで洞窟の壁に手を着いて
懐からジッポーを取り出した。

カチッ、シュボッ。

火の点いたジッポーをそのまま頭上へと掲げる。
ジッポーの火の明かりが届く範囲は限られている。
足下を僅かに照らすジッポーの火の明かりを、目の前に差し出して奧を伺った。

「・・・・あんまり先にゃ行きたくねぇなぁ・・・」

思わずサンジはそう漏らす。
やはり、暗闇は更に奧へと続いており、その先に何が待ち受けているかは
今までの事を考えると・・・安易に想像出来てしまう。

「・・・おい、コック」

サンジの持つ明かりを頼りに周囲を伺っていたゾロが声を掛けてきた。
振り返ると、ゾロは「ほらよ」と肩に何かを乗せた。
それは妙に軽くて、細い、乾いた木の枝ようなもので・・・。

「・・・何だ・・・こりゃ?」
「・・・人骨」
「・・・へ?」
「・・・人骨。手の部分だろ。その辺にゴロゴロしてるぜ」
「ジジジジ・・・・・人骨ーーーーーーっ?!」

ぐわーーーーっ!
叫んだ拍子にサンジがゾロへと投げつけた。
乾いた人骨が、バサッとゾロの頭へと乗る。
手のひらに当たる部分の骨がまるですだれのようにゾロの顔に覆い被さった。

「ぎゃぁああああああああっ!!!
 クソ剣士が人骨オバケーーーーーーーーーっ!!!」
「おめぇがやったんだろうがっ!!おめぇがっ!!」
「てめぇがそんなモン持ってくるからじゃねぇか!!」
「だからってギャーギャー騒ぐんじゃねぇ!!」

バカが・・・!と、ゾロは頭の上に乗っかった人骨を取ると
もう一度サンジへと差し出した。

「俺に人骨を集めるような趣味はねぇ!」
「趣味を聞いてんじゃねぇ!!早くこの骨に火ィ点けろって言ってんだよ!!」
「あ?・・・・」
「知らねぇのか?乾燥した人骨は松明みてぇに燃えるんだよ」

バカにしたように自分を見るゾロに、サンジは「そんな事ぐれぇ知ってる!」と
その人骨をひったくった。
反動でカタカタと音を出す人骨。
少しゾッとなりながらもサンジはその人骨の手のひらに当たる部分に
ジッポーの火を近づけた。
しばらくの間。
パチパチと音をたてながら人骨の手は燃え始める。
ジッポーよりも大きな炎は、先ほどよりも大きく明るく洞窟を照らし出した。

「おお・・・良く見えるじゃねぇか」
「時間がねぇ。先を急ぐぞ」
「クソ剣士が・・・一々俺に指図すんじゃねぇよ」
「・・・ならさっさと動け。これ以上遊んでる暇はねぇぞ」

誰が遊んでるってんだよ!
怒鳴るサンジを背にゾロは一足先にその暗闇へと足を踏み入れた。
舌打ち一つ。
続いてサンジもゾロを追うように洞窟の中へと進んでいく。

暗闇に溶けていく二人の姿。
二人が奧へと入っていくのを見届けるように、2対の黒い瞳がずっと見つめていた。
















ゴロゴロとした石が続く狭い洞窟に入ってしばらく。
その狭い洞窟は広い横穴へと姿を変えて奧へと続いていった。
横穴に足を踏み入れると、湿った土の匂いが鼻を掠める。
それと一緒に鼻の奥がツンとする、独特の匂いと・・・。
壁伝いに歩いていたサンジが土の変化に、手にする人骨松明を頭上へと掲げる。

「・・・なんだ?・・・・木の根っこが見えるぞ」

頭上の土壁からは、樹齢数百年の木を想像させるような太い木の根っこが
うねっているのが見えた。
所々で枝分かれした根の先が突きだしており、
先端からは、その木独特の樹液がたれ、匂いを発していた。
全体的な匂いが変わったのはこの樹液のせいらしい。
ゾロが木の根の付近を眺めながら口を開いた。

「ここはあまり深ぇ洞窟じゃねぇみたいだ。
 ・・・少しずつ地上へと向かっているのかも知れねぇ」
「・・・ってぇ事は・・・出口が近いのか?」
「さぁな・・・。だが・・・時間的に考えて・・・この洞窟を抜けた先が
 この島の出口になりそうだな」

時計の針は午前2時を指そうとしていた。
洞窟に入り込んでから早2時間。
石がゴロゴロと点在する狭い洞窟から、湿り気のある土色に変化した広い横穴。
明らかに洞窟の状況が変わってきている。
洞窟の中は一本道だった。
曲がり角も少なくほぼまっすぐに続いていていた道。
島の大きさとログポースが向かう針の角度を考えると
そろそろ出口らしいモノが見えてきてもおかしくないだろう。

もうすぐこの訳の判らない島からおさらば出来る。
24時間も目の前だ。
そう思うと足取りも軽くなった。

意気揚々と奧へ進むサンジ。
それに続いて進むゾロ。
だが奧に進むにつれ、何だか少しずつ目の奧がピリピリとする。
それと同時に・・・鼻の奥がやけにむずがゆい。

「なぁ・・・・何だか空気が悪くねぇか・・・」
「・・・大した事ねぇだろ」

サンジの問いかけにゾロが素っ気なく答えた。
ムッと思いながらも気のせいとは思えない空気の変化に
サンジはもう一度ゾロへと意見する。

「けどよ・・・何だか息苦しい感じがするぜ・・・」
「・・・タバコのせいだろ。それだけ吸えば、息苦しくもなるだろうよ」

少しは考えて吸え。
ゾロが一言そう付け足した。
そのゾロの言葉に、今度はサンジのこめかみがプチッと音をたてる。

「てめぇに指図される覚えはねぇんだよ・・・」
「・・・指図じゃねぇ・・・意見だ。少しは脳みそ使え」

ピクピクッ・・・。
またもやサンジのこめかみに出来た三叉路が大きく脈打った。
ゾロの言葉が一々引っかかる。
苛立ちがマックスに近い。
一つ息を飲んで、サンジは殊更大きくため息を吐いた。

「はぁ〜・・・もうすぐ24時間だ。
 やっとこの鬱陶しい島とおさらばして
 ナミさんにお会いする事が出来るって訳だな〜vv
 そして・・・むさ苦しい筋肉ダルマとの鬱陶しい一時もやっと終わるってぇ訳だ」

嫌味を込めてか。
サンジが肩を竦めながら横に居るゾロをチラリと伺った。
その視線に気づいてかゾロも大きくため息を吐く。

「俺も・・・やっと口うるせぇ足手まとい野郎とおさらば出来ると思ったらせいせいするぜ」
「あぁ?!誰が足手まといだと?!誰が!」

ゾロの言葉にサンジがグワッと目をつり上げた。
いつもの事だと、ゾロが小指で耳穴をほじり、耳垢をフッと噴き飛ばす。

「・・・俺が言ってるんだ。おめぇしか居ねぇだろうが」
「ふざけんじゃねぇぞ、クソ剣士。てめぇが言うその足手まとい野郎に
 何度となく助けられたのは・・・何処のどいつだ?えぇ?!」
「助けてくれなんて、頼んじゃいねぇ」
「その割には無駄な脚力に頼って俺の足にぶら下がってたじゃねぇか!」
「それはおめぇが勝手に俺の前にぶら下げたからだろうが!」
「必死なツラして掴まってたくせに良く言うぜ!」
「んだと?!クソコック!」
「やるか!クソ剣士!!」

ガルルルルルルッ・・・・!
睨み合う二人。
少しは広くなった洞窟だが、二人が喧嘩し合うには幾分か狭い場所だ。
それも残り時間が少ない今となっては、
協力し合あえばこそ、仲違いをしている暇などない。
だが、疲れ切った体とすり切れた精神力、
更にもう少しでこの冒険に終止符を打てるという安堵感が
二人の心に亀裂を生じさせた。
普段からも意にそぐわないと喧嘩ばかりする二人だ。
こういう状況の時ほど、ぶつかり合っても仕方がないのだろう。
一触即発の中。
意外にもその睨み合いから抜け出したのはゾロだった。

「・・・・ったく、やってらんねぇぜ・・・」

ギッと握り拳を作ってそのままサンジから目を逸らす。
イライラする気持ちは頂点に達していたが
こんな事をしても何の特にもならないと判断したからだ。
仲間の為にログを溜めると約束した。
その為にも一刻も早くこの洞窟から抜け出し、島の出口へ向かうのが先決だ。

「・・・逃げるか!クソ剣士!」
「アホか。てめぇといがみ合った所で何の特にもならねぇ」
「・・・んだと?」
「さっさとこの洞窟から抜け出す方が先だ。てめぇを伸すのはその後でも遅くねぇ」

ゾロは大きくため息を吐いて、洞窟のその先へと足を向けた。
だが、サンジの方はそれでは納得出来ない。
サンジにとってのイライラも頂点に達していたのだ。

何故こんなにも悔しさや苛立ちが募るのか判らない。
このままでは、腹の底からどんどん腐っていきそうになる。
行き場のない怒りと悔しさが腹の中にグルグルとドス黒く円を描く。

最初から、この男とお手々繋いで仲良くこの島で過ごすなんて間違っていたのだ。
こんなヤツと一分、一秒でも一緒になんか居られない!

「待て!」

サンジは先を急ごうとするゾロを呼び止めた。
振り返るゾロにサンジはつま先を軽く地面に叩き付け戦闘態勢の合図を示す。

「どういう意味だ・・・」
「うるせぇんだよ。てめぇの指図は受けねぇつってんだろうが!」
「指図じゃねぇって言ってんのが判んねぇのか?クソコック。
 やっぱ脳みそ足んねぇようだな。ああ?!」
「一々・・・・苛つくんだよ・・・てめぇの言葉はよ!
 俺は・・・俺のやりてぇようにやるだけだ!」

グワッと目を見開いたサンジが、一気にゾロへと間合いを詰めていった。
そのまま右足を軸に、振り上げた左足をゾロのこめかみへと狙いをつける。
ガキッ・・・と鈍い音が響いた。
ゾロの刀の鞘がサンジの踵を間一髪で止める。

「・・・・本気らしいな・・・クソコック」
「おお、俺はいつでも本気だ、クソ剣士」

ググググッと力の押し合いが、二人の間で続いた。
サンジは左足に力を込め、ゾロは手にする刀の鞘に力を込める。
洞窟の天井から梁出ていた木の根から樹液がポタリと二人の間に落ちた。
その樹液にサンジの気が削がれた途端、
力を抜いて左足をかわしたゾロがサンジの懐へと入る。

「てめっ・・・」
「がら空きだ、クソコック」

握る刀の柄がサンジの鳩尾へと食い込んだ。
大きく”くの字”に折れ曲がるサンジの体。
グウッ・・・と呻きながら、サンジの足はゾロの肩を軸に、右足を大きく振り上げていた。
右の膝がゾロの顎を大きく捉える。

「ぐはっ!」
「ぐぅぅぅぅ・・・・!」

二人の体が左右の壁に激突した。
時間差で鳴り響く衝撃音。

「・・・・や・・・やるじゃねぇか・・・クソコック」
「・・・ふざけんじゃねぇ・・・そう簡単にやられっかよ」

胃袋からせり上がってきた胃液を吐き出してサンジがもう一度・・・と戦闘態勢に入った。
ゾロもそれに合わせて、刀を一旦腰に戻し、再度柄に手を掛ける。
互いが本気の力を出そうとしていた。
とりあえずこの決着を着けない事には先へ進めない。
アイツを・・・あの男を倒さなきゃ気が済まねぇ!

だが・・・サンジが壁から体を離した途端、
グラグラグラと地響きが起こりだした。

「な・・・?!・・・何だ?」
「マズイ!・・・今の衝撃で・・・天井が崩れ掛けてる!」

ゾロの声と共に、頭上から砂利が落ち始めた。
バラバラと雨のように降り注ぐ砂と砂利。

「走れ!コック!このままじゃ生き埋めになっちまうぞ!」
「うっせぇ!俺に指図すんじゃねぇって言っただろうが!」
「嫌ならそこで埋まっちまえ!クソコック!」
「んだと?!てめぇこそ、瓦礫に頭打ち付けて、・・・・ぅ・・・うぅっ・・・」

ゾロとの怒鳴り合いで大声を上げた途端、サンジはその場に蹲った。
頭を押さえ苦しそうに眉間に皺を寄せる。

「コック!?」
「・・っ・・・くっそ・・・頭が・・・・っ」
「・・・何?!」

壁に叩き付けられた衝撃が、崖下に頭を打ち付けた痛みを呼び起こしたらしい。
蹲ったまま動けなくなっているサンジの腕を掴みゾロは肩に掛ける。
何とか立たせ、崩れる天井から抜け出そうと先を急いだ。
少しの動きでも頭痛が激しくなる。
サンジはしきりに眉を顰め、歯を食いしばった。

「少しだけガマンしろ!とにかく・・・この洞窟を抜けねぇと・・・!」

降り注ぐ砂利の量が増えてきた。
視界が塞がれ、足場が見えなくなってきた。
揺れが・・・・どんどん大きくなる。

クソッ・・・・このままじゃ・・・!

「・・・・・・・・?!」

ドーンと一層大きな地鳴りが響いた。
途端、洞窟の天井から一気に砂利が落ち始める。
頭に、肩に大量の砂利がのし掛かってきた。

「・・・っ・・・コック!」

ゾロの声に頭の痛みで顔を顰めていたサンジが目を開ける。
砂が舞い、空気が薄汚れていく中、ゾロの口端がニィッと上がるのが見えた。

「・・・・ゾロ・・・?」
「・・・後・・・頼んだぜ・・・・コック」
「・・・・な・・・に?!何・・・言って・・・・・・ぐあっ!」

腹にもう一度大きな衝撃。
地面を滑りながらサンジの体が大きく飛ばされた。
その直後。

ドドーーーーーーン!!

大きな地響きと共に砂埃が天井高く舞い上がる。
いや・・・洞窟の天井は半分がそげ落ちてしまったようだ。
少し広がった空間に砂埃が・・・更に上へ上へと立ちのぼっていく。

「・・・・っ・・・・ぅぅ・・・・」

パラパラ・・・と、残った小さい砂利が地面に落ち、静けさが戻りつつある洞窟。
サンジのすぐ目の前には大きな砂利の山が築き上げられていた。
それは・・・天井がそげ落ちて出来た砂利の山。
砂埃が散開し、徐々に視界がクリアになってくる洞窟で
サンジが・・・痛む頭を押さえつつその体を起こした。

「・・・んだ・・・。何が起こったんだ・・・?」

一瞬で出来上がった砂利の山を目の前に唖然とするサンジ。
そして・・・・・。

「・・・・・ゾロ・・・?
 ・・・おい!ゾロ!・・・何処行ったんだよ?!」

感じなくなった気配にサンジは狼狽えた。
現れた砂利の山と消えてしまったゾロの姿。
最後に巻き上げる砂埃の中、自分に向かってニィと笑ったゾロの顔が蘇る。

まさか・・・。
まさか・・・・・!
あの野郎・・・・俺を助けるために・・・この砂利の中に残ったんじゃ・・・?!

「嘘だろ・・・・おい・・・。
 嘘だって言えよ・・・ゾロ・・・・!
 ゾローーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

ゾロからの返事はない。
サンジの叫び声だけが、砂利の山に反響して・・・大きく、大きく鳴り響いていった。








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