ギャルズタウンのお好きな街にあなたのサイトの看板を出せます。 ギャルズタウンをご利用いただいているレジデントの皆様に参加していただきたいです。 21000人以上の皆様にご利用していただいている無料サービスです。 ギャルズタウンのヘルプ委員、メイヤー、レジデントの皆さんが真心を込めて作ってくれたヘルプページです。 ギャルズタウンの案内ページです。 商用サイトを運営なさっている方のための相談・提案サービスです。
ギャルズタウンの総合トップページへ!
Click here to visit our sponsor
E-listBBSSearchRankingAnimeComic-WhiteGo to Top




タイムリミット





−7−




半壊した洞窟の天井。
木の根が突き出る隙間から僅かな月明かりが漏れ入る。
暗かった洞窟の中をその月明かりが、サンジと・・・出来たばかりの砂利山を照らし出す。

「・・・・何で・・・・何でこんなバカな事すんだよ!!ゾロ!」

サンジは目の前の砂利の山を睨み付けて、拳を地面へと叩き付けた。
細かく割れた砂利がサンジの拳へと突き刺さる。
だが・・・その痛みよりも・・・
自分を助けて砂利の山へ消えてしまった剣士への想いの方が痛い。

「・・・誰も・・・助けてくれなんて・・・頼んでねぇ・・・のに!
 てめぇばっかり・・・いい格好しやがって・・・!
 ふざけんじゃねぇよ・・・ちきしょう!・・・・ちきしょう・・・!ちきしょうーっ!!」

ダンダンダンッ!
叫びながらサンジは再度拳を地面に叩き付け、砂利の山を睨み付けた。
パラパラと上段から転がり落ちてくる小さい石の塊。
どれだけ眺めても・・・砂利の山はそれ以上・・・動く気配は見せなかった。

「ゾロ・・・・・」

まさか・・・こんな事になるなんて思ってもみなかった。
この島に入って何度となく危険な目に遭ったが、それでも何とか切り抜けてきた。
みんなの為に・・・自分たちの為に・・・。
ログを溜めて・・・また船に戻ると・・・約束をして・・・。

なのに・・・何故・・・!

「・・・・・・・?!」

項垂れるサンジの背後で・・何かが動く。
見知った気配ではない。
慌てて振り返るサンジの目に、見覚えのある不気味な配色の羽を持つ鳥が映る。

「・・・・てめぇ・・・クソ鳥!」

目を剥いて睨み付けるサンジにその鳥は大きなくちばしを開けて鳴いた。


・・・・オイテケーッ!


「・・・・んだと?!」


ソイツヲ・・・・オイテケーッ・・・!


「・・・・何・・・言ってやがる・・・!ふざけんのもいい加減にしろ!」


ログヲヤル・・・・ソイツヲ・・・オイテケーッ!!


「クソったれが!仲間の命と引き替えにログなんか溜めれるか!!
 ぶっ殺してやる!!」

怒鳴り声にも意を返さない鳥にサンジは蹴りを放った。
鳥はサンジの足を軽くかわすと、天井から突き出ている木の根っこへと飛び移る。
一瞬の差でかわされたサンジが怒りも露わに
もう一度その鳥へを捕まえようと飛びかかった。
また後一歩の所で、鳥はサンジの手をすり抜け、洞窟のその先へと飛んでいく。

触れた木の根の裂け目からは樹液がもれていた。
その樹液が鳥を捕まえようとした時にサンジの手のひらへこびり付く。

独特の匂いがサンジの鼻の奥へと届いた。
刺激臭に頭が疼く。

「クソッ・・・!ムカツクぜ、あのクソ鳥!!」

行く先々で俺達の邪魔ばかりしやがって!
ああ、クソ!
この洞窟さえ抜ければ、もうすぐこの島からおさらば出来たってぇのに・・・
もうすぐ・・・ログを溜める事が出来たってぇのに。
それなのに!

「頼みもしねぇのに・・・俺なんか助けるからだ!
 アイツが・・・・・アイツが余計な事さえしなけりゃ・・・」

なんで俺がこんな目に遭わなきゃならねぇんだよ!
あんな鳥にバカにされるのも・・・こんな目にあっちまうのも・・・!
全部、全部!あのクソ剣士のせいじゃねぇか!
アイツが勝手な事さえ言わなけりゃ・・・今頃無事にこの洞窟からも脱出出来たはずだ!
ちきしょう!!
生き埋めになっちまったのなんか、元もとアイツの自業自得から来た事じゃねぇか!
勝手に埋まっちまったヤツの事なんか知るか!!
俺には関係ねぇ!

「アイツがどうなろうと俺の知ったこっちゃねぇ!」

樹液のついた拳を握りしめてサンジが怒鳴る。
何故か無性に苛ついて仕方がなかった。
怒りが腹の底から膨れ上がってくる。

そうだ・・・。
これはさっきも感じたようなドス黒い感情。
悔しくて、苦しくて、憎しみしか沸いてこない苛立ち。
ゾロという人間がこれ以上もないくらい憎い。
目の前の全てがとんでもなく苛立つ。
あんな野郎・・・死んだって・・・構わねぇ!!


オイテケーーーーッ!


遠くに飛んでいった鳥がもう一度鳴いた。
まるでサンジの心の声を聞いたかのように、舞い戻り大きなくちばしを開けて鳴いた。


ソイツヲ・・・・オイテケーーッ!


「うるせぇんだよ!!何度も鳴くんじゃねぇ!
 そんなに鳴かなくたって、いづれアイツはてめぇらのモンだろうが!!」

イラつくまま、サンジは懐にあるタバコを探した。
目当てのモンがなかなか見つからずサンジはまた苛ついた。
何故こんなにも苛つくのか、訳が判らず・・・また苛ついた。
いつもと同じ場所に無かった・・・と、やっと見つけたタバコに苛ついて・・・。
今度は上手く取り出せないと更に苛ついて・・・。
やっと銜えたタバコに・・・暗くて上手く火が点けられない・・・と、苛ついて・・・。

「・・・クソッ!」

舌打ち一つ。
地面にジッポーを投げつけたくなる衝動を、ギッと歯を食いしばって噛み殺し、
タバコの先端にやっと火を点す。
大きくニコチンを吸い込んで、一瞬だけサンジに安堵が戻った。
自分の感情にふと疑問が過ぎる。

俺・・・何でこんなにイラついてんだ?

ジッポーを懐へ戻そうとして・・・手についた樹液に目がとまった。

そういや・・・こんなに苛つき始めたのは・・・
この横穴に入ってからじゃねぇのか・・・。

サンジの記憶がつい先ほどの映像を呼び起こした。
この横穴に入って・・・それから妙に目が痛んで
息が苦しくなって・・・。
そうだ・・・。
あん時・・・木の根っこから・・・ポタポタと樹液がたくさん垂れて・・・
気分が悪くなって・・・・・。

「!!!」

慌ててサンジは手についた樹液の匂いを嗅いだ。
先ほどと同じように、鼻の奥にピリッとした感覚が蘇る。
目の奧が痛くなる。
むせ返るような苛立ちがわき起こってくる。

「・・・・そうか・・・これが・・・・!」

この樹液は・・・人の神経を逆なでするんだ。
苛つかせて・・・感情を高ぶらせて・・・お互いをぶつかり合わせる。
ましてや、生きるか死ぬかの状況を通り抜けてきた奴らが
体力も精神力も限界の中、この匂いを嗅いじまったら・・・。

「・・・・・・!」

先ほどの状況を思い出して・・・青ざめた。
自分もゾロも・・・特にコレと言って争うような事は何も無かったのだ。
いつもの言い合いが、急に相手の一語一句にガマンできなくなって・・・
妙に悔しさや苛立ちが増してきて・・・。
心に亀裂の入った状態で、天井が崩れ落ちれば・・・
自分さえ助かればいいなんて・・・そんな最悪な事まで考えちまう・・・。

この洞窟の入り口にあんなにも人骨が多かったのは・・・。
この罠にはまった奴らのなれの果てだったんだ。
余裕のない感情は互いを大きく傷つけて・・・。
命まで奪い合って・・・・。



俺は・・・。
俺達は・・・まんまとこの島の罠に・・・ハマっちまたっていう訳か?!
罠にハマって・・・・クソ剣士の野郎を・・・・失ったって・・・?!



「クソッ・・・・!ふざけんじゃねぇ!!
 そんな事があってたまるか!そんな事が・・・!」

アイツは・・・勝手に俺を助けようとして・・・砂利の中にハマっちまっただけだ!
アイツが勝手に・・・!
アイツの事なんか・・・!

「・・・・っ・・・!」

そこまで考えてサンジは大きく頭を振った。
違う・・・。
違う!
これは・・・俺の感情じゃねぇ。
樹液の作用がまだ残ってやがる。
苛立ちが・・・余計な事まで考えちまう。

落ち着け・・・。
気持ちを落ち着かせろ・・・。
意識を・・・別な所に持っていくんだ・・・。

沸き上がる怒りを抑えようと握り拳に力を込めた。
拳が震える。
全身が・・・小刻みに震えた。
胃の中身がせりあがってきそうな嘔吐感。

「・・・・くっ」

自分の感情に逆らえば逆らうほど気分が悪くなる。
苛立ちや怒りがこんなにも厄介だとは思わなかった。

サンジは今にも爆発しそうな感情を抑えながら右手を口元へと運ぶ。
口に銜えているタバコを手に取り、
そのまま・・・火の点いたタバコを手のひらで握りつぶした。

「ぐっ・・・・・ぅぅっ!」

ジュッ・・・と皮膚が焼ける音が手の中で鳴る。
続いて・・・肉が焼ける匂いと・・・手から立ちのぼる煙。
脂汗が額に滲む。
歯を食いしばり、タバコを握る手に更に力を入れた。
最後の火が手の中でうち消され、立ちのぼる煙が消える。

ゆっくりと手を広げ、折れ曲がり火の消えたタバコを地面へと捨てた。

「うっし・・・いい具合に・・・目ぇ・・・覚めたぜ・・・」

サンジの背後で様子を伺っていた鳥がバサバサとその翼を羽ばたかせる。
思い通りに行かなかった事に、苛立ちを表しているのか、それとも・・・。

サンジは右腕にあるログポースを確認した。
ログポースの針は洞窟の出口を指したままだ。
ゾロはまだ死んじゃいない。
まだ生きている。
まだ・・・助け出せる!

「悪いな、クソ鳥!
 てめぇらの思い通りになるほど俺は甘くねぇぜ」

サンジは目の前の砂利の山に足を掛けた。
数回、足下の砂利を払い除けると、その場所に膝を付く。

懐からまた愛飲のタバコを取りだして、口に銜える火を点け
そして・・・砂利の山に手を掛け、徐に掘り始めた。

・・・ケーッ!
・・・オイテケーッ!

鳥が大きな声で鳴き始める。
その声をすぐ側で聞きながらサンジは砂利の山を掘り続けた。

「・・・冗談じゃねぇ・・・あんなでっけぇ忘れモン・・・置いていけるか・・・!」

アイツは・・・あのクソ野郎には・・・
俺が一言文句を言ってやらねぇと気が済まねぇんだよ。
必ず・・・必ず・・・掘り出してやる!クソ鳥なんかに・・・・渡して堪るか!!







Back/Treasure Top/Next