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タイムリミット





−8−




ザッ・・・・ザッ・・・・ザザッ・・・・。


定期的に砂利を崩す音が鳴り響いては、一つ小さな息が吐き出される。
そして・・・また。


ザッ・・・ザッ・・・・ザッ・・・。


「・・・・・っ・・・・いってぇ・・・・」

はぁ〜とサンジは指先に息を吹きかけた。
砂と泥で汚れる指先。
それに混じって・・・ひび割れた指先から血が滲んでいた。
何も考えず、砂利を掘り起こしてから30分が経った。
ゾロが生き埋めになってからは・・・40分近くになる。
早く助け出さないと・・・本当に・・・ゾロは・・・。

「・・・・チッ・・・・」

上手く動かなくなってきている指先に舌打ちをし、
もう一度タバコを銜え火を点けた。
サンジの後ろには何本モノタバコの残骸が見える。
それは全て吸いきってない状態でうち捨てられたモノばかりだ。

「・・・・クソッ・・・・」

このまま掘り続けて・・・一体・・・何になるってんだ?
もう30分も経ってるじゃねぇか。
なのに・・・影も形も見えて来ねぇ。
深い所に埋まっちまってんだ。
さすがのゾロだって・・・もう・・・。

「・・・・クッ・・・・ダメだ・・・余計な事考えんな!・・・考えんじゃねぇよ!」

疲れが極限なのか、意識が朦朧とし始めると何かよからぬ事が頭を過ぎり始める。
それもそのはずだ。
側にある木の根から神経を苛立たせる樹液が絶え間なく滴り落ち、
それは地面に落ちては空気に溶け・・・サンジの元へと流れいた。
そして、何度も・・・何度も・・・サンジの心を苛つかせていく。

その度にタバコを握りつぶし、
正気を取り戻していた結果が・・・サンジの背後にあるのだ。

サンジはまた銜えていたタバコをその手で握りつぶした。
ジュッ・・・と音をたててタバコの火がサンジの手の中で消えていく。
痛みに打ち震え、全て火が消え去った後、タバコの残骸を後ろへと放った。


・・・ケーッ・・・
・・・オイテケーッ!・・・


鳥がまた遠くで鳴いている。
サンジの心が折れそうになると計ったように鳴き続ける。

「・・・・やっぱり・・・あのクソ鳥・・・バーベキュー決定・・・・」

きっと美味くねぇだろうけどよ。
ハハッ・・・と軽い笑いを浮かべてサンジはログポースの針を見た。

・・・針は回っていない。
・・・大丈夫だ。
まだ・・・ゾロは・・・生きている。

「だよな・・・あの筋肉バカが・・・そう簡単に死ぬ訳・・・ねぇよな」

なら・・・さっさと出してやんねぇと・・・。
大きく息を吸って、サンジはまた血塗れの手を砂利の山へと差し入れた。









今、サンジが闘わなきゃならないのは、
目の前の砂利の山と、痛む指先と、木の根からもれる樹液。
それと・・・・自分自身。

手の痛みや腕の怠さには耐えられる。
体中が軋むような苦しさにも耐えられる。



だが・・・。



もしかしたら・・・。

もう・・・間に合わない・・・。

こんな事・・・・無駄かも知れない・・・。

何であんなヤツの為に・・・。

俺が・・・何故こんな目に・・・。



そう感じた時の心の歪みは想像を絶するほど苦しかった。



木の根からもれる樹液がその苦しみを更に増幅させ
すぐ側で鳴き続ける鳥達の声が心に大きな揺さぶりをかける。


いっその事・・・こいつを置いていこう。
そうすれば楽になる。
たった一人の命で・・・大勢の人間が助かるんだ。
何も大きな犠牲を払う訳じゃない。
自分は助かる・・・。
仲間が助かるんだ・・・。
何を迷うことがある?
簡単じゃないか。


そいつを置いていけば済むだけの事。


そいつを置いていくんだ。



そいつを置いていけ。




そいつを・・・。




ソイツヲ・・・オイテケーーーーーーッ!








「ヤメローーーーーーーーーーーーッ!!」

サンジは慌てて耳を塞いだ。
樹液の匂いが・・・鼻を掠め、頭の中に鳥達の声が残る。
グルグルと同じ幻覚が頭の中を駆けめぐっていった。
地面に額を擦り付けて、意識をなんとか自分のモノにしようと目を瞑る。

「・・・・・・クソッ!」

懐を探った。
早くタバコを吸って、その火で心の迷いをうち消さないと。
探った手に・・・タバコは一本キリしか触れてこなかった。
心もとないその一本を口に銜え、ジッポーを探す。
何処へ仕舞ったのか、ジッポーが見あたらない。
あちこちと探す手のひらに何度も痛みが走る。

・・・何気にその手のひらを見た。

何カ所もヤケドの痕が見える手のひら。
一体・・・どれほどのタバコをこの手でもみ消したんだろうか。
大切な・・・大切な・・・・。
料理人としての・・・大切な手が・・・。

俺の大事な・・・・手が・・・・こんな・・・・。


・・・・・ケーーーッ!
・・・オイテケーーッ!!


「うるせぇ!!黙れ!!本気で焼き鳥にして食うぞ!クソ鳥!!!
 って・・・あ”ーーーーーっ!!俺の・・・ジッポーじゃねぇか!!」

鳴き声をあげる鳥の傍らで、もう一匹の鳥がサンジのジッポーを銜えていた。
サンジが必死になって砂利の山を掘り続けている中、
ポケットから転がったジッポーを持ち去っていたのだ。

「クソ鳥!俺のジッポー返せ!!」

グワッと鳥に向かって手を伸ばすが、疲れ切った体では
鳥の動きについていける訳もなく。
サンジを軽々とかわし、ジッポーを銜えたまま鳥達はまた奧へと飛び立っていった。

「俺の・・・ジッポー・・・・」

サンジはボー然とその場に立ちつくした。
タバコにはまだ火が点いていない。
唯一の、この心の闇から抜け出せる手段を・・・奪われてしまったのだ。

苛立ちが沸き上がる・・・。
暗い・・・暗い心の闇が・・・・また襲ってくる。
ゾロを置いていけ・・・と心の闇が命令する。
サンジは砂利の山の前に膝を付いて、頭を抱え込んだ。

「ヤメロ!!俺はアイツを・・・死なせたくねぇんだ!!
 アイツは・・・あの野郎は・・・!」

命がけで・・・俺を助けてくれたんじゃねぇか!
何度も・・・何度も、危ねぇ橋を渡ってここまで来たんじゃねぇか!
アイツも・・・きっと・・・俺を待ってる。
俺が・・・・助け出すのを・・・待ってるはずだ!

「・・・・・・?」

サンジが砂利の山へと目を戻した時だった。
掘り出した穴の中から白い物が突きだしているのが見えた。
それは・・・ゾロが大事にしている、夢を追うために無くてはならない刀。

「・・・・ゾロ?・・・」

そこに居るのか?

そこに?


サンジは必死になってその白い刀を掘り始めた。
不思議と手の痛みも、心の苛立ちも感じなかった。
ただ・・・ゾロを死なせない!と、一心不乱にその穴を掘り続ける。

刀の鞘に沿って、まっすぐに掘り続けた砂利の山。
刀の柄が見えた。
そのすぐ側に・・・砂利とは違う柔らかい感触。

「・・・ゾロ!」

手に触れた。
指先が冷たくなってはいるが、その奧にはしっかりとした暖かさを感じた。
痛む手を堪えて、砂利の奧を更に掘る。
緑の毛が見え始めた。
周辺にある大きな石を取り除き、顔の部分の砂利をゆっくりと払い除ける。
砂利で真っ白になってはいるが、顔に赤味が残っていた。

「ゾロ!・・・しっかりしろ!今・・・・今、出してやるからな!」

サンジはゾロの肩に手を掛け、ゆっくりと砂利の山から引きずり出した。
同時に砂利の山が徐々に崩れ始める。
パラパラと頂点から降り注ぐ砂利を払い除けながら
ゾロの体を一気に引き抜いた。

直後、ズザザザザッと大きな音をたてて砂利の山が大きく崩れた。
崩れた砂利が流れ、横へと広がっていく。

「・・・あぶねぇ・・・」

後少し、ゾロに気づくのが遅れたら、
ゾロを助け出す所か、自分さえもその砂利に飲まれる所だった。
間一髪だったと崩れた砂利を呆然と眺めるサンジ。
そして、自分の腕の中に居るゾロを思い出し慌てて声を掛ける。

「ゾロ!おい・・・聞こえるか?!しっかりしろ!ゾロ!!」

何度も呼びかけるサンジの声に、ゾロの瞼がピクッと動きを見せた。
ゆっくりと瞼が開く。
その目がサンジを見つけると、砂利でかさついた口を開いた。

「・・・・お・・・めぇ・・・」

ゾロのその声にサンジの口元が思わず歪んだ。
銜えていたタバコがフルフルと震えた。
目の奧がジーンと熱くなる。
何かヤバイもんがあふれ出そうになって
サンジはグッと力強く握った拳をゾロの頭に叩き付けた。

「ぐっ・・・いってぇ・・・何しやがる、クソコック・・・・」
「”クソコック”じゃねぇよ・・・・クソ野郎が!
 ったく・・・手間掛けさせやがって!!
 てめぇ掘りあてるのに俺がどれだけ苦労したと思ってんだよ!
 勝手に・・・自分だけいい格好しやがって!!
 後の始末がどれだけ大変か、判ってんのかてめぇわよ!!
 一発殴っただけじゃ気が済まねぇ!!ボコボコにしてやる!」

動けないゾロを前にサンジは散々文句を言い放った。
しまいにはその胸ぐらを掴み上げ、顔にツバを飛ばすほどに文句を言い始める。
息つく暇もないほどのサンジの文句に
「てめぇにゃ頼んでねぇ」と言いかけて・・・ゾロはそれを止めた。

自分の体を掴む血塗れの手。
この砂利の山を一人で掘り進んで・・・自分を捜し当てた苦労は計り知れない。
ましてや・・・自分の顔を見て、サンジが嬉しそうに顔を歪めているのを見た日には・・・・。

「・・・・悪かったな・・・」

ボソリとゾロが呟く。
胸ぐらを掴んでいたサンジが・・・・唖然と口を開け放った。
意外なゾロの言葉に、サンジの方が驚いてしまったようだ。

「んだ・・・おめぇ。バカ口開けやがって・・・」

マジマジとサンジの顔を眺めるゾロ。
その視線にサンジは顔を真っ赤にして我に返った。

「・・・て・・・てめぇがしょうもねぇ事言い出すからじゃねぇか!」
「しょうもねぇ事なんざ言ってねぇ」
「つーか、だ・・・大丈夫か?かなり頭打ち付けたんじゃねぇのか?え?」
「おい・・・・」
「いや・・・それよりももしかして熱があるとか言うんじゃ・・・?
 変な病気を移されたんじゃねぇだろうな?
 あの砂利の山に変な病原菌が居たとか??」
「居る訳ねぇだろうが・・・」

ゾロはノソリと上半身を起こし体をコキコキと慣らした。
少し関節が痛むが、動けなくなるほどではない。

「動けるのか?・・・」
「大した事ねぇ・・・それよりも・・・時間大丈夫か?」

「何が・・・?」と首を傾げるサンジに
ゾロはサンジの腕にある時計を指さした。

「もうすぐ24時間だろ?」
「あ・・・・?」
「さっさとこの洞窟抜けねぇと
 本気でこの島に閉じこめられちまうぜ」
「あーーーーっ!」

叫びだしたサンジは大きくゾロの体を突き飛ばした。
背中を思いっきり打ち付けてゾロが呻く。

「・・・・っ・・・っっ・・・何しやがる、クソコック!」
「何じゃねぇよ、クソ剣士!
 もう時間がねぇんだよ!後2時間しか残ってねぇ!!」

右腕にある時計はすでに午前4時を指そうとしていた。
この洞窟を無事に抜けて、島の出口までは後2時間で向かわなければならない。
それこそ、24時間後たった5分間だけ開くという出口を探さないことには
この島に半永久的に残るハメになってしまうだろう。
慌てて立ち上がるサンジに続いてゾロものっそりと立ち上がる。

「やっべぇ!こんな所でちんたらてめぇと怒鳴り合ってる場合じゃねぇんだよ!」
「だから言ってんだろう」
「黙れ、クソ剣士!無駄にてめぇが砂利山に埋まるから悪ぃんじゃねぇか」
「ふざけんな!てめぇがいざって時に動けなくなっちまうからじゃ・・・ぐおっ!」

言いかけるゾロにサンジの膝蹴りが鳩尾に食い込んだ。
防御する間もなく、ゾロは大きく体を曲げて呻いた。

「黙れつってんだろうが。
 この洞窟の中じゃ言い合いは御法度なんだよ、クソ剣士」

俺は嫌っつーほどそれを知ってる。
呻くゾロに「さっさとついて来い!」と一言残し、サンジは洞窟の出口へと走り始めた。

その割には・・・散々文句言いまくってたじゃねぇか。
そう思うゾロだったが・・・・自分を心配していたサンジの顔を思い出すと
ついその言葉も心の中に収めて、サンジの後へと続いた。



島の出口はもうすぐ開く。
残り時間は後わずかだ。 









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