Q 1
仕事で失敗して、今日一日落ち込んでいるのですが。
A 1
それは、正常な反応です。むしろ、時々落ち込む位いが正常なんです。


Q 2
どうしてうつや、躁鬱になるのでしょう。遺伝なんですか?
A 2
これは、色々なアプローチで色々な検証が続けられていますが、確定的な事は発見されて
いません。確率的には、親に症状が有った場合にはその子供の発症率が明らかに高いです。
しかし、それは比較論であって、逆に親は全く異状がないのに、子供だけ発症する事も多いです。
つまり、何らかの遺伝的気質と遺伝子そのものの「発症しやすさ」が内在していると考えています。
他に人間や動物は、身体の代謝や分泌物によってバランスを自動的に保って(片足で垂直に
立っている時もバランサーが働く)いるのですが、脳内に於いても何かの切っ掛けでうつ側に傾いた
場合には、躁側に引っ張って中間領域まで無意識に持って行くものです。
うつ病や、躁鬱病の場合その振幅が短時間で自動収束出来ないのが原因の一つです。勿論、
脳梗塞等の後遺症で出る場合も多い訳ですが、その様な物理的な脳の損傷が見つからない場合、
見えないバランサーの働きそのものが、逆位相で利いていないか、そもそもまともに動いてないのか
逆に正位相で働いて(誤動作)憎悪させているのかも知れません。
また、最近の研究でそれをコントロールする脳細胞或いは脳神経に散在的にダメージがあるのでは
ないかとの仮説もあります。集中して異常のある脳細胞はCTやMRIで部位が簡単に特定されます。
所が、これら心因性のうつや躁鬱を引き起こす細胞レベルの異常或いは死・・は、固まって発生して
いない様です。だから見つからないのではないでしょうか?先ほど述べた遺伝に於いても、その様な
ダメージを修復しにくい遺伝子構造を持っているとも考えられます。


Q 3
心の病気なのに、何故薬を使うのですか?
A 3
目的はうつ発生時の不快愁訴を和らげる、消す目的です。薬の持つ化学反応で化学的に
逆位相に引っ張り戻す(この場合は躁側に)為です。不快愁訴により身体の自由が利かなくなり
周りの目も厳しくなった場合には、本人には更なるストレスとなり病気の進行の原因になります。
これら症状を取り去り、または軽減する事により「うつ癖」を減らす目的があります。


Q 4
躁転って何ですか?
A 4
うつの患者には抗鬱剤を与える訳ですが、実は薬の選択や副作用のコントロールが良くない場合
に躁側に転ぶ事があります。最も症例として多いのは、躁鬱(双極性)患者を鬱病(単極性)と判断
し、抗うつ剤の漫然たる処方により躁の病相に至った場合、当然ながら躁を憎悪憎悪させていまい
ます。それほど、診断は重要なんですが・・・躁のエピソードがその時に語られなかった場合や、
元々の性格が、「本当は明るい人なんだな」と医者が判断してしまった場合です。
軽躁は本人すら気がつかないのですから。こうなると、抗鬱剤(欝→躁側へ単に引っ張り上げる)では
オーバードライブとなります。双極にバイアスが掛かる患者さんには、その振幅を小さくする安定剤を
処方するのが基本です。特に塩化リチウムは、躁を引き戻す効果が強いので、リチウム+抗鬱剤の
併用も多いです。単に軽躁や躁の患者には単剤で処方する薬です。
双極性の場合は、バルプロ酸が第一選択です。リチウムは血中濃度管理が筆必要な中毒物質です。
「毒にも薬にもなる」と言われる物の一つでしょう。
また、躁転はカウンセリングによるトリガーもあります。医師もカウンセリングをやりますが、どうしても
薬の選択や副作用のコントロールに注意が向いてている為、カウンセリングの専門職に比べると
「化学者」でもある訳で、重心がそもそも違います。外部でカウンセリングを受けている場合、その
カウンセラーと非常に相性がマッチして、少しずつ±0方向に向かう訳です。そうすると、抗鬱剤は
アップですから、当然躁側に転ぶ訳です。毒にも薬にもならないカウンセラーに当たった場合は
良いとして、非常に優秀なカウンセラーに当たった場合、逆に遙かに躁転の危険性をはらみます。
医師とカウンセラーは二人三脚でなければなりません。そしてその効果を医師はトレースして段階的に
薬を調整するのが、一番短時間で軽快する症例となるのかなと思います。
私達は、医師の処方した薬と用量を聞けば、その医師の治療方針が読める訳です。無言の重い
メッセージです。カウンセリングを進める内に、クライアントの変化を注意深く評価し、そのクライ
アントさんが、診察に向かうとき医師への説明の仕方をアドバイスする事もあります。
勿論、カウンセラーの基本はここで説明する迄もなく・・・そこまで突っ込まなくて良いのですが・・。


Q 5
自殺が怖いのですが。
A 5
本当の単極性のうつの場合は、特に心配しなくて良いです。うつを治す事に全力を挙げましょう。
単極性に見えた「実は軽躁を含む欝」の場合、軽躁の状態で「欝の苦しさから脱したい、こんな
ひどい世の中には居たくない、そもそもこんなだらしのない自分なんて不要だ」と、欝の状態の
記憶を引っ張り出した時が危ないです。躁ですから、行動できちゃうんです。壁に頭を強くぶつけ
ても何でもないパワーがある訳ですから。単極性欝の場合、そもそも身体が動かないし、死ぬにも
身体が鉛状態です。軽躁もしくは躁の時に、やっちゃうんです。躁で非常に凶暴な場合は、勿論
他人を傷つけますし、社会問題化、金銭の異常な浪費、自殺の恐れ等で入院対応になるでしょう。


Q 6
双極性障害と統合失調症の違いは何ですか?
A 6
統合失調症(精神病症状)と双極性障害(躁鬱)は一見似ていますので注意が必要です。
素人には、仲々違いが判りにくいですし心療内科でも精神科の専門医と相談する事もあります。
それは気力がない、元気がない、たまに弾ける、一見どちらとも取れる共通症状があるからです。
老人性うつも最近多く、心療内科の受診者にも多く見られます。
たまたま訪問する機会に恵まれ、祖母や祖父に再会した時に「あれ?変だな」という印象は毎日
近くで世話する兄弟より、ハッキリした落差として感じる事が出来ます。
この場合、注意深く観察や話をしてみると。
・人生のエピソードの時系列が間違っている。
・記憶力の欠如。(食事した事を忘れて、また食べて吐く等)
・計算能力の欠如等(部屋の至る所に小銭がしまってある場合、紙幣しか使っていない)
があった場合には、第一選択として「認知症(判り安く言えば痴呆症)」として、病院に行くべきです。
最近の薬は、良くできていて進行を遅らせるか早ければ進行を止める事が可能に成ってきました。
「もう、歳だからこんなもんでしょ」との判断は禁物です。(50歳頃から発症する若年性認知症もある)
一方、うつの場合には、元気がないが論理立てて反論する事が可能ですし、上記の症状が無い等が
ある為、専門医は誤診はしないと思います。


Q 7
良くなったので、薬をやめるか用量を減らしても良いですか?

A 7
駄目です。医師の判断で処方されている薬ですから、やめる場合にも医師の判断が必要です。
勝手にやめて再発した場合、非常にコントロールが難しくなったり、離脱現象が出て苦しむ場合が
多いです。また、通常数日から数週間のスパンで効く薬ですので、やめて再発した場合、コントロール
が出来たとしても、再度効き始める数週間は苦しむ事になりますし、コントロール出来ない場合には
その苦しい数週間後に薬を変えて、また数週間様子を見る事になります。
薬を減らす、または無くすのは、医師のノウハウの見せ所なんです。
勿論これらの薬は、一生飲む覚悟も必要です。(耐性は出来ないが、転調した場合は別の薬を)
カウンセリングの効果で、考え方・感じ方を変える事が出来たら、再発しなくなる場合も多いです。
そうやって、だんだんとうつから離れて行けば良いのです。


Q 8
身内に躁鬱を発症している者がいるのですが、騙してでも早期に受診させるべきですよね?

A 8
いいえ、それは「措置入院」以外は禁じ手と思って下さい。
特に躁相では、「こんなに調子が良い俺が、なんで病院に行かなければならないんだ」と言う
状態です。同意もなしに、病院に連れて行くと逃げるでしょうし、もう貴方を信用しなくなります。
躁相から±0若しくは、軽うつの時に説得を試みるのが良いです。
それでも駄目なら、その聞く耳を持っている精神状態の時に条件付けして約束をして貰いましょう。
例えば躁相で浪費癖がある場合には「今度サラ金から金を借りたら病院に行こう」とか、自滅型
の場合は、「今度壁に何度も頭を打ち付けたら病院に行こう」とか、凶暴型なら「今度近所で
喧嘩したら、病院に行こう」とか約束する事です。認知症ではないので、彼らはほぼ100%記憶
しています。忘れた振りやとぼけた場合の為に、紙に書いておくのも良いでしょう。
躁は周りの人が辛いです。うつは自分自身が本当に辛いんです。

欝相の苦しさを記憶している訳ですから、「苦しい時には病院は行かなくて良いから、今度動ける
時に苦しくならない薬を貰いに行きましょう」という希望型の説得がうつや躁鬱病の身内には良い
です。病院には一緒に付き添い、本人の聞こえない所で看護師に「まずは本人だけで受診させて
すぐその後に私を先生の所に呼んで下さる様に先生に申し伝えて下さいませんか?」と言って
下さい。医師は本人の申告以外に、客観的に見た情報を治療方針作成の為に必要とします。
忙しい医者にしても、それを嫌がる様な医者であれば、その場でキャンセルするのも一つの選択肢
です。


Q 9
うつや躁鬱を発症すると、人間的な生活は出来なくなり廃人になると聞きますが。
A 9
決してそんな事はありません。廃人や野獣の様に成った人は見たことありません。
もちろん、それは極端な言い方ではありますが、人間はやはり人間らしいのです。
ただ、人間が生存する為に神が与えた(ここは動物と一緒ですが)三大欲求については、
例えば、何度も言う様に睡眠サイクルが8時間程度ズレます。(睡眠欲の混乱)
性欲が無くなったり、異常に増えたりします。(性欲の混乱)
食事が美味しくなくなったり、食欲そのものがなくなったりします。(食欲の混乱)
何れにしても、この3つは最低限保持されて最低限生き延びる様にはなっております。
睡眠がズレる事により、ホルモンバランサーが効かない局面に至り、色々な障害が出ます。
性欲が高ぶり、予期せぬ妊娠や、妊娠させてしまう社会的な事件を起こします。
食欲が無くなったり、過食したりで体重異常や、内臓疾患を起こします。


Q10
薬物療法やカウンセリングを長々と続ける気力も暇もないのですが。
A10
その様な方は、悪化するだけでしょう。自然に治って再発しなかったら神に感謝しましょう。
・・・そんな冷たい言い方は好きではないので、少し他の方法とそのリスクについてお話しします。
即効性のある(症状を30分程度で消し去る)療法はあります。
1)修正型電気けいれん法(m−ECT)
判りやすく言うと、電気ショックを身体に与える方法です。従来法(ECT)では、患者の恐怖感や
けいれんによる擦り傷(固定具との)等の問題がある為、最近は恐怖感の除去の為、静脈から
点滴で麻酔薬を落とし、眠らせ且つけいれんを防ぐために筋弛緩剤を静注します。麻酔医との
連携で呼吸管理が必要です。効果は9割程度に達しますので、ウケは非常に良いですが、
効果が短い(半日〜2日)再発が必ずある。何故効果があるのかは判然とはしていないのですが
何れにせよ、脳のマッサージ効果があるのだろうと推測されます。(だから肩こりの様に繰り返す)
2)催眠療法(深層心理コントロール)
判りやすく言うと、催眠術です。1)と違って身体へのリスクや負担が無い。気分的には非常に
爽快で、即効性もあります。但し、施術者の能力やノウハウで、効果にばらつきが大きいのも
特徴です。また、催眠術ですから・・・その暗示については上書きを繰り返さないと長く持っても
半年で切れます。リスクとしては、やはり再発のリスク(スパンは長い)と退行現象(一時的な
子供帰りと言うか・・・子供の頃に戻りたい気持ちが前面に出る場合)が見られる場合があります。
施術者の能力があれば、その傾向を見抜きながら上手に誘導していきますので「急性症状を
押さえるには」良い療法とはいえます。但し、原因が判っている物だけにそれをキャンセルする様な
暗示を仕掛ける為、想定外の原因が新たに社会生活で受けた場合には、それがトリガーとなり
「効いていないのではないか」との誤解を受けます。オールマイティな暗示が無いのです。
「貴方はうつになりませ〜ん」では、暗示にはなり得ません。また、暗示では本人が不利益と判断

                                          

Q and A